「人生100年時代」といわれる昨今。

85歳以上人口の全人口に占める割合は1990年においては1%に満たないほどでした。しかし、2019年においては4.7%、さらに2040年には9.2%に達するといわれています。

平均寿命もまだまだ延びることが見込まれており、2040年には男性83.27年、女性89.63年になるとの推計も。

長寿のお祝いは「60歳の還暦から」が一般的なイメージがありますが、本当の意味での「長寿」のお祝いは「70歳の古希から」がスタンダードになる日も近いかもしれませんね。

老後生活の本格スタートは70歳からと考えると、やはり気になるのはお金事情ではないでしょうか。

私は以前、生命保険会社に勤務し、数多くのお客さまから老後のお金の相談を受けてきました。その経験もふまえ、現在のシニア世代を参考に、「70代の貯蓄・年金事情」についてお話していきたいと思います。

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「70歳以上」シニア世代の貯蓄額は、どのくらい?

まず初めに、70歳以上世帯の貯蓄事情を、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」をもとに確認していきましょう。

70代以上世帯の貯蓄額分布

「老後の格差」は明らかです

70歳以上・二人以上世帯「金融資産保有額」(金融資産を保有していない世帯を含む)

平均:1786万円・中央値:1000万円

金融資産非保有:18.6%・100万円未満:4.3%・100~200万円未満:4.1%
200~300万円未満:2.6%・300~400万円未満:3.0%・400~500万円未満:2.6%
500~700万円未満:6.5%・700~1000万円未満:6.3%・1000~1500万円未満:11.9%
1500~2000万円未満:8.0%・2000~3000万円未満:10.4%・3000万円以上:19.0%
無回答:2.6%

平均値は一部の極端に大きい値に影響されて、数値が大きくなりやすい傾向があります。一方で、中央値は貯蓄額を少ない順、あるいは大きい順に並べたとき全体の真ん中にくる値で、平均よりも実態を反映しやすいと言われています。

よって、ここでは中央値の1000万円のほうが、身近に感じやすく、参考にしやすい値といえるかもしれません。

また気になる点として、3000万円以上の世帯が19.0%、金融資産非保有(=貯蓄ゼロ)世帯が18.6%と、ほぼ同じ割合で存在する「二極化」状態となっています。

老後の貯金格差を浮き彫りとする結果に、他人事とは思えないと感じる人もいるかもしれませんね。