先日、田村憲久厚生労働大臣(当時)が記者会見で、厚生年金の財源の一部を、国民年金(基礎年金)へ回す案について言及しました。

少子高齢化により、国民年金の財源が将来大幅に減少となることを防ぐためとされています。

サラリーマンのみなさんにとっては、やや衝撃的なニュースだったかもしれません。今回は、制度改革のターゲットとなっている厚生年金に着目します。

大手メガンバンクに17年勤務し、個人の資産運用に携わってきた筆者の視点から解説してまいります。

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会社員の厚生年金、平均はいくら?

さっそく、現在の厚生年金がいくら受給できているのか見てみましょう。厚生労働省年金局の「厚生年金保険・国民年金事業年報 令和元年度」から、会社員が受け取る厚生年金保険(第1号)の年金月額分布をながめていきます。

厚生年金保険(第1号)年金月額階級別・老齢年金受給権者数

※厚生年金保険(第1号)の年金月額には、基礎年金(国民年金)月額を含みます。

会社員の厚生年金の受給額分布

男女差・個人差が大きいですね。

【男子】年金月額:人数

  • ~5万円未満:15万977人
  • 5~10万円未満:97万6724人
  • 10~15万円未満:261万3886人
  • 15~20万円未満:436万9884人
  • 20~25万円未満:224万9128人
  • 25~30万円未満:28万8776人
  • 30万円~:1万7626人

【女子】年金月額:人数

  • ~5万円未満:31万5100人
  • 5~10万円未満:234万1321人
  • 10~15万円未満:218万2510人
  • 15~20万円未満:41万2963人
  • 20~25万円未満:6万3539人
  • 25~30万円未満:4166人
  • 30万円~:379人

全体平均月額:14万4268円

  • 男子平均月額:16万4770円・女子平均月額:10万3159円

厚生年金の加入期間によって男女差はありますが、厚生年金の全体平均月額は14万4268円となります。

ちなみに自営業やフリーランスなどが加入する国民年金(基礎年金)の受給額には男女差がほとんど見られません。平均年金月額は、男女全体で5万5946円(男性5万8866円、女性は5万3699円)です。

会社員の厚生年金月額は自営業やフリーランスの国民年金月額の約3倍近くになります。