公的年金には、「老齢年金」「遺族年金」「障害年金」の機能があります。このうち、私たちのほとんどに関係してくるのが、原則65歳から受け取る「老齢年金」でしょう。
本格的な長寿時代を迎えたいま、現役世代には、親や祖父母の代よりもより丁寧な「老後の準備」が求められそうです。人生の三大出費の「集大成」ともいえる老後資金は、一朝一夕で貯まるものではないでしょう。
長期的なマネープランを立てる上で、今のシニア世代の受給事情を知ることも参考になりそうです。そこで、厚生労働省の「令和元年度 厚生年金・国民年金事業年報」をもとに、平均額からは見えない「いまのシニアの年金事情」を深掘りしていきます。
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老齢年金のキホンをおさらい!
さいしょに、日本の年金制度の基本を復習しましょう。図をごらんください。
職業や立場によって、加入する年金制度が決まります1/3
加入していた年金制度によって、老後に受け取る年金も変わります
「日本の公的年金制度は2階建て」なんて言われますね。1階部分の「国民年金(基礎年金)」は、日本に住む20歳から60歳までのすべての人に加入義務があります。2階部分の「厚生年金」は、会社員や公務員が国民年金に上乗せして加入するものです。
老齢年金「基礎年金だけの場合」受給額はどのくらい?
ここからは「令和元年度 厚生年金・国民年金事業年報」を参考にします。自営業・フリーランス(第1号被保険者)や専業主婦など(第3号被保険者)が受け取る「老齢基礎年金」の受給額事情について眺めていきます。
国民年金平均年金月額
- 全体…5万5946円
- 男性…5万8866円、女性…5万3699円
では、国民年金の受給額分布のイメージを、グラフからつかんでいきましょう。
国民年金(老齢基礎年金)【男女別】年金受給額分布
国民年金(基礎年金)の受給額事情2/3
男女差は大きくないようですね!
国民年金【男性】年金月額階級別老齢年金受給権者数
1万円未満…1万2693人、1万円以上~2万円未満…6万803人
2万円以上~3万円未満…22万1983人、3万円以上~4万円未満…70万6206人
4万円以上~5万円未満…134万5582人、5万円以上~6万円未満…312万4529人
6万円以上~7万円未満…849万4551人、7万円以上…38万1323人国民年金【女性】年金月額階級別老齢年金受給権者数
~1万円未満…6万6247人、1万円以上~2万円未満…24万4695人
2万円以上~3万円未満…74万63人、3万円以上~4万円未満…226万4161人
4万円以上~5万円未満…336万406人、5万円以上~6万円未満…454万1337人
6万円以上~7万円未満…598万7227人、7万円以上…144万306人
国民年金は、現役時代に一律の年金保険料(※1)を納め、未納月数に応じて満額の受給額(※2)から減額されるしくみです。よって、男女差は大きくないようですね。とはいえ、実際の受給額は「1万円未満」から「7万円以上」までさまざま。
では、厚生年金はどうでしょう。次で詳しく見ていきます。
2021年度の月額はそれぞれ以下の通りです
※1 国民年金保険料:1万6610円
※2 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万5075円
老齢年金「会社員の厚生年金なら」受給額はどのくらい?
会社員や公務員など、厚生年金に加入していた人は、原則65歳から、「老齢基礎年金」に加えて「老齢厚生年金」を受け取ります。今回はこのうちの、民間企業で働く会社員が受け取る厚生年金保険(第1号)の年金月額を眺めていきます。
厚生年金保険(第1号)の平均年金月額
- 全体…14万4268円
- 男性…16万4770円、女性…10万3159円
(※)厚生年金の平均年金月額には基礎年金月額が含まれます。
厚生年金についても、受給額分布をグラフで確認していきます。
厚生年金保険(第1号)【男女別】年金受給額分布
会社員が受け取る「厚生年金保険(第1号)」の受給額事情3/3
1万円未満から30万円以上まで、かなり幅広い範囲に分布しています。
厚生年金保険(第1号)【男性】 年金月額階級別老齢年金受給権者数
~5万円未満…15万977人、5万円以上~10万円未満…97万6724人
10万円以上~15万円未満…261万3866人、15万円以上~20万円未満…436万9884人
20万円以上~25万円未満…224万9128人、25万円以上~30万円未満…28万8776人
30万円以上…1万7626人厚生年金保険(第1号)【女性】 年金月額階級別老齢年金受給権者数
~5万円未満…31万5100人、5万円以上~10万円未満…234万1321人
10万円以上~15万円未満…218万2510人、15万円以上~20万円未満…41万2963人
20万円以上~25万円未満…6万3539人、25万円以上~30万円未満…4166人
30万円以上…379人
厚生年金の受給額の分布は、5万円未満から30万円以上までの広い範囲に分布していますね。男女の平均額を比べると、女性のほうが6万円ほど低いです。
厚生年金の場合、現役時代に収入に応じた保険料を納め、それが加入期間とともに老後の受給額を左右します。女性はライフワークバランスを意識し、出産や育児などで離職したり働き方を変えたりする人が男性よりも多いです。こうした背景が、この男女差のうらにあると考えてよいでしょう。
「平均年金月額」からは見えない部分
今回は、老齢年金の受給額事情を、国民年金(基礎年金)・厚生年金に分けて眺めてきました。
いずれの場合も「平均年金月額」とは名ばかりで、その受給額ゾーンは幅広いものであることが分かります。
老後に老齢基礎年金だけを受給する予定の方は、まずは付加年金制度や国民年金基金などの「年金額を増やす」工夫も取り入れつつ、自助努力で老後資金をしっかり準備していく必要がありそうですね。
厚生年金を受け取る場合は、基礎年金よりは手厚い受給額が期待できるものの、現役時代の稼ぎからは確実に下がることを念頭に置く必要があるでしょう。また、昔は会社員で厚生年金に加入していたけれど、今は自営業や専業主夫(主夫)という人の場合は、厚生年金を受け取れても予想以上に年金額が低い可能性があります。
ねんきんネットやねんきん定期便で、ご自身の老齢年金額の目安をつかむことから始めてみましょう!
