10月17日は「貯蓄の日」です。毎年この日に、その年の収穫へ感謝をこめて伊勢神宮で行われる神嘗祭(かんなめさい)に由来するもので、お金を無駄遣いせず大切にしようという思いも込められ日本銀行により制定されました。

今年もあと2カ月と少しですが、みなさんは思うように貯蓄は進んでいますか。一口に貯蓄といっても、預金だけでなく、投資信託や保険、株式などがあります。

投資信託や株式といった資産運用は、少し前まで「余剰資金のある人がやるもの」で、年齢層も比較的高い人がおこなう印象でした。しかしつみたてNISAでは、20~40代といった若い世代での利用が増えています。

特に一生独身や離婚などでシングルとなったおひとりさまは、資産運用を活用しての貯蓄が向いている面もあります。つみたてNISAの基本やおひとりさまに向いている理由をみていきましょう。

効率的に貯蓄を増やす「つみたてNISA」とは?

おひとりさまにも、さまざまな属性がありますよね。国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集 2021年版」によると、50歳時の未婚・離婚・死別の割合は以下の通りです。

50歳時の未婚・離別・死別の割合(2015年)

男性

  • 未婚:23.37%
  • 離別:6.26%
  • 死別:0.57%

女性

  • 未婚:14.06%
  • 離別:10.18%
  • 死別:1.88%

50歳時では男性で約30.2%、女性で約26.12%がおひとりさまです。比較してみると、女性は未婚と離別の割合が大差ないですね。

ひとりで生きていくとき、生活の土台となるのは「お金」です。ベースであるお金がきちんとしていれば、日々の生活や趣味、友人付き合いなども楽しめ、病気をしたときや老後の不安も和らぐでしょう。

とはいえ、「日々の生活に追われてなかなか思うように貯蓄できない」と悩まれる方も少なくないのでは。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」から、40~50代の貯蓄の平均をみてみましょう。

単身世帯の貯蓄(金融資産を保有していない世帯を含む)

  • 40歳代:中央値40万円・平均値666万円
  • 50歳代:中央値30万円・平均値924万円

平均値でみると貯蓄があるように思えますが、平均値は一部の大きな数字に引きずられやすいため、実態に近いのは中央値です。中央値を見ると、貯蓄の難しさが分かります。

思うように貯蓄ができないと悩むおひとりさまに、考えてほしい一つが「つみたてNISA」を利用した貯蓄です。

つみたてNISAとは、一定の条件を満たした投資信託の中から自分で商品を選び、毎月一定額を積み立てるもので、2018年1月からはじまりました。通常は配当金や分配金、譲渡による利益に20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISAなら毎年40万円まで、最長20年間非課税になります(非課税運用額は最大総額800万円)。

運用益が非課税という点で、これまでなかなか投資を始められなかった方でもはじめやすくなりました。

では、たとえば「20年間で1000万円ほど貯めたい」と思ったとき、銀行預金とつみたてNISAで運用するのでは、どれくらいの差が出るでしょうか。金融庁の資産運用シミュレーションを利用して、つみたてNISAが利回り3%で運用できた場合と比較してご紹介します。

20年間で約1000万円貯めるのに必要な毎月の積立額

  • 銀行預金:毎月4万1666円(メガバンクの普通預金金利0.001%)
  • つみたてNISA:毎月3万円(年率3%で20年間で984万9060円)

つみたてNISAを利用することで、月1万1666円ほどの負担が減ります。20年間では約280万円にのぼります。

老後に向けて貯蓄する目標額は、お住まいの地域や居住形態、生活水準などにより異なります。ただ資産運用を取り入れることで効率的に貯蓄でき、月々の貯蓄の負担も軽減されるでしょう。

投資なので、もちろん元本割れをするなどリスクもあります。たとえばリーマンショックのように相場全体が下がれば、売りたくても売れない場合もあるでしょう。そういったリスクを考えて、預金と並行して運用を行うといいでしょう。