ひと昔前は、60歳で定年退職し悠々自適な老後生活を迎える方も多かったでしょう。

筆者も25年前に初めて海外旅行へ行ったときにシニア世代の団体客と遭遇し、元気にセカンドライフを楽しんでいる方々がいたのを今でも鮮明に覚えています。

現在は、退職後も働き続ける方も珍しくなく定年も企業により延長されているところも増えてきています。

今回は、70歳代の平均貯蓄や年金額などについて詳しく見ていきます。

1. 70歳代・二人以上世帯、シニアの貯蓄の平均・中央値はどのくらい?

金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」をもとに、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)を確認していきましょう。

※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

70歳代・二人以上の世帯における平均貯蓄額は1923万円となっていますが、これは一部の高額貯蓄世帯が全体の平均を押し上げているため、実態より高めに見える可能性があります。

実態に近い中央値で見ると、貯蓄額は800万円にまで下がっており、多くの世帯がこの水準付近に分布していることがうかがえます。

以下に、各世帯の貯蓄額分布の内訳を示します。

  • 金融資産非保有:20.8%
  • 100万円未満:5.4%
  • 100~200万円未満:4.9%
  • 200~300万円未満:3.4%
  • 300~400万円未満:3.7%
  • 400~500万円未満:2.3%
  • 500~700万円未満:4.9%
  • 700~1000万円未満:6.4%
  • 1000~1500万円未満:10.2%
  • 1500~2000万円未満:6.6%
  • 2000~3000万円未満:8.9%
  • 3000万円以上:19.0%
  • 無回答:3.5%

最も多いのは、金融資産をまったく持たない「貯蓄ゼロ」の世帯で、全体の20.8%を占めています。

一方、3000万円以上の貯蓄がある世帯も約19.0%とほぼ同程度あり、その差が大きいことがわかります。

このように、70歳代の世帯では貯蓄額に大きなばらつきが見られます。

貯蓄が少ない世帯では、年金だけで生活するのが難しいケースも想定されます。