岸田新総理が打ち出した「令和版所得倍増計画」。果たしてこれを信じている人はいるのでしょうか。結論を先に言うと、ほとんどいないと思います。実際のところ、総理自身が雑誌のインタビューで“現実的ではない"と語っていますし。

今回は「新しい日本型資本主義」「成長と分配」「新自由主義からの転換」「中間層復活」など、どんどん出てくるキーワードについて考えてみます。総選挙も近いですからね。

所得倍増はあくまでイメージ

まず問題の総理インタビュー記事から。先月のダイヤモンド編集部の総理単独インタビューから引用します。

「もちろん低成長が続く現代において、所得を『2倍』にするのは、現実的とはいえません。ただ、『倍増』というメッセージを打ち出すことで、企業や国民の意識を変えていきたいと考えています」。

ちょっと、ひどい話かもしれませんね。テレビニュースでこの発言を流すときは、“発言内容はイメージです"とテロップを入れて欲しい気もしました。

ただ、よく考えれば所得倍増なんて到底ムリな気もしますから、これは良しとしましょう。

そもそも、ネタ元の池田勇人内閣「所得倍増計画」も、当時の高度成長下の日本では、たとえば1959年の実質成長率は11.2%。10年たてば所得の倍増は、ほぼ自明だったわけです。「所得倍増計画」という政策で所得が倍になったわけではありません。