日本の資本主義はもう充分に日本独自型

次に「新しい日本型資本主義」についてみていきます。まず“日本型"について。

日本型の内容はさておき、まず文脈として考えてみます。これは“いまの日本の資本主義は国際標準的で行き過ぎ"、だからこそ“日本型の独自の資本主義をつくろう"というのが自然な文脈だと思います。

しかし、前提として、いまの日本の資本主義が果たして国際標準的でしょうか。実態は逆で、現状は、すでに充分すぎるほど日本独自型でドメスティックだと思います。

終身雇用・年功序列賃金から完全に抜け出せない硬直した雇用制度。産業構造は垂直統合型(一社完結型)がまだまだ強い。過去のモノづくりの栄光の遺産があるので、しょうがない面もありますが、要はガラパゴス資本主義だと思います。

個人的には、すでに充分に日本独自型の資本主義を、さらに日本型にするというのは違和感しか感じません。方向性が真逆ではないでしょうか。

「新しい日本型資本主義」の内容についてみていきます。キモは成長と分配の好循環にあるのだと思います。そのために「新自由主義からの転換」をするという流れです。

新自由主義の国とは、元祖の英米を中心に欧米諸国を指しているのだと思います。では、それらの国々は分配政策を全く否定しているのでしょうか。むしろ最近は、分配寄りに舵を切っている気がします。