年金支給日は、偶数月の15日。2カ月分がまとめて振り込まれます。10月の支給日もそろそろですね。現役世代のみなさんはご存じでしたか?

公的年金の機能は3つに分けられます。原則65歳から受け取る「老齢年金」、病気やケガで生活に制限を受けたときに受給する「障害年金」、そして大黒柱亡き後の家族を支える「遺族年金」です。

なかでも「老齢年金」は、私たちのほとんどが利用することになる老後の命綱ともいえる制度。その老齢年金の実際の受給額は、現役時代の働き方や収入が大きく関係します。今回は平均的な年金額をもとに、単身世帯・夫婦世帯の受給額事情を比較していきます。

ねんきんのしくみを復習!

公的年金は2階建て構造、などといわれます。ベースとなる国民年金(基礎年金)と、上乗せ分の厚生年金から成り立つためです。

「国民年金(基礎年金)」は、日本国内に住む20歳以上60歳のまでの全員に加入義務があります。会社員や公務員は、国民年金(基礎年金)に上乗せして「厚生年金」に加入します。

老後(原則65歳)に受け取る年金は、国民年金(基礎年金)に加入していた人は「老齢基礎年金」、厚生年金に加入していた人は「老齢基礎年金」に加え「老齢厚生年金」です。

「年金保険料」や「老齢年金」月額いくら?

次は、現役世代が納付する年金保険料と、老後に受け取る年金額について見ていきます。

年金保険料

国民年金保険料は全員一律で、月額1万6610円です(2021年度)。厚生年金保険料は「標準報酬月額(※1)」や「標準賞与額(※2)」に一定の保険料率をかけて算出するしくみです。よって、収入が年金保険料に反映されるため、個人差が生じます。

ここで、日本年金機構「令和3年4月分からの年金額等について」から、「国民年金の満額(※3)」と「モデル年金(※4)」の額をご紹介します。

  • 国民年金の満額:国民年金(老齢基礎年金(満額)): 6万5075円
  • モデル年金:厚生年金※(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額):22万496円

※1 標準報酬月額:毎年4月~6月の月収の平均値。32等級に区分され、等級ごとに金額が決まる
※2 標準賞与額:賞与支給額から1000円未満を切り捨てた額。1回あたり150万円が上限
※3 国民年金の満額:国民年金保険料を40年間(20歳~60歳の間)すべて納付した場合に受け取れる年金額
※4 ※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

国民年金の受給額には、上記の「満額」が設定されており、保険料の未納月数に応じて満額から差し引く計算方法がとられています。

次の「モデル年金」は夫婦世帯の年金額の目安としてしばしば使われますが、「夫がサラリーマン・妻が専業主婦」の状態が40年間続いた世帯の年金額です。夫に一度も失業期間がなく、かつ妻がずっと専業主婦だった、という世帯はイマドキの多数派とはいえないでしょう。

夫婦ともに会社勤めだったり、二人とも自営(フリーランス)といった働き方の場合、このモデル年金額は参考にしにくいですね。単身世帯の場合もしかり。

次では、厚生労働省の資料から、国民年金と厚生年金の「1人分」の年金額をつかんでいきます。