60代は今までの人生を振り返り、これからのセカンドライフへシフトする分岐の世代にあたります。老後と聞いて、「老後のことはまだ考えなくていいかな」「老後は年金もあるし、何とかなるでしょ」と楽観している方もいるかもしれません。

60代の中でもしっかりと資産を築いてきた人とのそうでない人の差はどのくらいあるのでしょうか。

大手都市銀行に17年勤務し、個人の資産運用に携わってきた筆者ですが、60代は特に大きく資産の差が出ていたことを実感しています。現在の60代世帯の貯蓄事情を参考に、「今できること」も含めてお話ししてまいります。

60代の全体の貯蓄事情

まずは60代全体の資産状況をみてみましょう。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」を参考にします。

金融資産保有額分布(金融資産を保有していない世帯を含む)

金融資産非保有者:18.3%・100万円未満:3.5%
100~200万円未満:4.0%・200~300万円未満:4.0%・300~400万円未満:3.3%
400~500万円未満:4.0%・500~700万円未満:5.3%・700~1000万円未満:7.5%
1000~1500万円未満:7.5%・1500~2000万円未満:6.3%・2000~3000万円未満:13.3%
3000万円以上:19.6%
無回答:3.3%

平均:1745万円・中央値:875万円

※平均は超富裕層の影響を受けるため、中央値の方が実態に近いです。(中央値とは数を並び替えた際の、ちょうど真ん中にくる数値)

こちらの分布では2000万円以上が3割以上いますが、一方で金融資産非保有者も2割近くおり、各世代の中でも資産格差は大きいものとなっています。