人生100年時代の幕開け。多くの方にとって、長い老後生活の収入は「公的年金」が大きな柱となるでしょう。

日本の公的年金は、国民年金と厚生年金の2つの年金制度から成り立っており、どちらに加入するかは、働き方や立場によって決まります。また、老後に受け取る年金額は、その加入状況によって大きく金額に差があることをご存知でしょうか。

今回は、国民年金と厚生年金がひと月いくらもらえるかの平均と、年金格差を縮めるためのヒントについてフォーカスしていきます。

国民年金「ひと月、いくら?」いまのシニアの受給額

まずは、厚生労働省年金局「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」より、自営業・フリーランス・専業主婦(主夫)などのみなさんが受け取る「国民年金(老齢基礎年金)」の受給額事情を見ていきます。

国民年金・平均年金月額

全体平均:5万5946円

  • 男子平均:5万8866円・女子平均:5万3699円

国民年金の場合、性別による受給額の差はわずかです。

しかし、この平均額だけでは 「どのくらいの人」が、「毎月、いくら」受け取っているかは見えてきません。
そこで年金事情のリアルに迫るべく、「年金月額階級別老齢年金受給権者数」をもとに、受給額の分布を確認していきます。

国民年金(基礎年金)の受給額事情

男女差はあまりないようです。

国民年金【男子】年金月額階級別老齢年金受給権者数

~1万円未満:1万2693人・1万円~2万円未満:6万803人
2万円~3万円未満:22万1983人・3万円~4万円未満:70万6206人
4万円~5万円未満:134万5582人・5万円~6万円未満:312万4529人
6万円~7万円未満:849万4551人・7万円以上:38万1323人

国民年金【女子】年金月額階級別老齢年金受給権者数

~1万円未満:6万6247人・1万円~2万円未満:24万4695人
2万円~3万円未満:74万63人・3万円~4万円未満:226万4161人
4万円~5万円未満:336万406人・5万円~6万円未満:454万1337人
6万円~7万円未満:598万7227人・7万円以上:144万306人

国民年金受給額のボリュームゾーンは、男女ともに「6万円~7万円未満」です。

ちなみに、国民年金の年金保険料は一律で、月額1万6610円です。老後に受け取る金額は満額(※1)から未納月数分に応じた額が差し引かれる形で決まります。

老後に受け取る年金額には大きな男女差はありませんが、しっかりとご自身で老後資金の準備を進めておくことは必須といえそうです。

※1 国民年金の「満額」:20歳から60歳までの全期間(480カ月)年金保険料を納めた場合に受け取れる年金額。2021年度は月額6万5075円。

次では厚生年金の受給額事情を見ていきます。