大阪における阪急ブランドの強さ
関西、特に大阪では阪急グループに対するブランドイメージや信頼感は非常に高いといえます。阪急電鉄の沿線に住み、阪急百貨店で買い物をするというのが、大阪での古くからのステータスです。大阪人の阪急グループに対する信頼感は、他の大都市では同様の例はあまり見られません。(尚、阪急グループは阪神グループを2006年に子会社化しています)
関西スーパーのH2O=阪急グループ入りを聞いた多くの関西人は「阪急グループ入りするならいいじゃないか」というのが率直な感想だったのではないでしょうか。企業も社員も顧客も喜ぶ関西スーパーの阪急グループ入りであり、何事もなく着地すると思われましたが予想外の“待った”がかかります。
大株主のOKストアが関西スーパーの経営統合に反対 TOBも視野に
関西スーパーの阪急グループ入りに“待った”をかけたのが、OKストア(本社横浜市)です。
未上場企業で関西ではほとんど馴染みのないOKストア。ただ関東では、特売を行わない「エブリデイロープライス」の安売りスーパーとして有名であり、TVの情報番組などでも度々取り上げられています。
OKストアは関西スーパーの大株主(株式シェア約7%)でもあり、関西進出の足がかりとして関西スーパーとの関係強化を図ろうとしたものの、H2O(関西スーパーの株式シェア約10%の筆頭株主)に先を越された形です。しかしOKストアは関西スーパーに対し、大株主としてモノ申すことができる立場にあります。
OKストアは関西スーパーのH2Oグループ入りを決める株主総会の議案に反対を表明しました。更に株主総会でH2Oグループ入りの議案が否決された後に、関西スーパーの取締役会の同意があれば1株当たり2250円(1992年2月10日の上場来最高値と同値)で株式の公開買い付けによる完全子会社化を行う意向も表明しています。
関西スーパーはH2Oのスーパーと経営統合を行うには、自社の株主総会で特別決議(2/3以上の賛成)が必要です。関西スーパーはH2Oが筆頭株主(株式シェア10.65%)ですが、OKストアは第3位株主として7.69%の株式を持つ状態です(2021年3月期末時点)。比較的株主が分散する中で、関西スーパーの株主の25%以上がH2Oとの経営統合に反対すれば、現在の形での関西スーパーのH2Oのスーパーとの経営統合はなくなります。
順調に進むと思われた関西スーパーの阪急グループ入りは、一転暗雲立ち込める事態を迎えています。