老後の準備は2000万円で充分か

「老後2000万円問題」を踏まえたとき、平均でみると、退職金と貯蓄で3000万円近く確保できていることにはなります。この場合、最低限の生活費は確保できそうです。

一方で、本当にそれで足りるのか?いう疑問が残ります。その理由は、各々のライフスタイルは違うからです。

ここで改めて「老後2000万円問題」を分解していきましょう。

なぜ「老後2000万円」なのか

老後はこれで安心できそう?

このオレンジ枠の中の老後必要額=5万5000円×12カ月×30年=1980万円(約2000万円)が、年金以外に2000万円が必要となる根拠です。

実は、このモデルケース世帯の試算には、注意していただきたい点が3つあります。

  1. 実支出が26万3718円である
  2. 住居費が1万3656円である
  3. 介護費が含まれていない

40代・50代のみなさんの、ひと月の出費はどのくらいでしょうか。持ち家派?もしくは老後も賃貸派?そして何より、「人生100年時代」。ご自身の介護費用についても考えていく必要がありますね。

住まいの環境や家族構成など、人それぞれの状況があり、備えるべき金額は全員違うのです。

ちなみに公益財団法人生命保険文化センターの意識調査では、「ゆとりある老後生活」を送りたいと考えた場合に必要な月々の生活費は36万1000円という結果に。

これを先ほどのオレンジ枠の計算式に当てはめると、老後に必要となる金額は、トータルで約5400万円まで膨れ上がります。

賃貸派の方は老後の生活費の中に家賃分も上乗せして計算する必要があるでしょう。また、長生きリスクを考慮して、介護費用にも目を向けることも忘れずに。

ちなみに、生命保険文化センターの調査によると、現在85歳以上で介護認定を受ける人の割合は59.3%。そして、LIFULL介護のデータをもとに、入居時費用のある有料老人ホームに5年間入居した場合を計算すると、1900万円強が必要となります。

備える項目は実に多いですが、年金生活スタートの直前になって慌てないように、先手先手で対策を講じていきたいものです。