かつて話題となった「老後2000万円問題」をきっかけに、リタイヤまでの貯蓄目標を2000万円と掲げたご家庭も多いかと思います。
仮に、定年退職金が2000万円もあれば50代までの貯蓄ペースが多少遅れても挽回できる世帯も多いでしょう。さまざまな業種があるなかで、退職金の待遇が手厚そうだな……と多くの人が思われるのは、公務員、とりわけ国家公務員ではないでしょうか。
そこで本日は、FPの資格を持ち、証券会社にて約20年資産運用コンサルティングに携わってきた私から、国を背負うエリート集団、国家公務員の退職金についてお話しいたします。
国家公務員の退職金「2000万円超」は何割?
公務員には、地方公務員と国家公務員の2種類の大きな区分があります。令和3年度時点では地方公務員は約276万人、国家公務員は約58万8000人です。
国家公務員は国の業務に従事する職員のことで、特別職(裁判所職員・国会議員・防衛省の職員など)と、それ以外の一般職に分かれています。
今回は、一般職の国家公務員の退職金事情について詳しく見ていきます。
内閣官房公表の「退職手当の支給状況(令和元年度退職者)」の「退職手当支給額別退職手当受給者数」から、今回は「定年退職者」にしぼりました。
常勤職員の退職金(定年)
- 500万円未満:93人
- 500~1000万円未満:118人
- 1000~1500万円未満:500人
- 1500~2000万円未満:4003人
- 2000~2500万円未満:6672人
- 2500~3000万円未満:1143人
- 3000~3500万円未満:63人
- 3500~4000万円未満:17人
- 4000~4500万円未満:68人
- 4500~5000万円未満:15人
- 5000~5500万円未満:6人
- 5500~6000万円未満:1人
- 6000~6500万円未満:14人
- 6500~7000万円未満:1人
計:1万2714人
全体の1万2714人の退職金受給者の状況をながめると、ボリュームゾーンは1500~3000万円です。5000万円超を受けとる人も、少人数ながら存在しますね。また、2000万円のラインを超える人は、全体の約6割でした。
次ではこれを、行政職俸給表(一)適用者にしぼって見ていきます。
常勤職員のうち「行政職俸給表(一)適用者」の退職金(定年)
- 500万円未満:26人
- 500~1000万円未満:13人
- 1000~1500万円未満:13人
- 1500~2000万円未満:505人
- 2000~2500万円未満:3006人
- 2500~3000万円未満:258人
- 3000~3500万円未満:3人
- 3500~4000万円未満:0人
- 4000~4500万円未満:1人
※4500万円以上の支給者は該当なし
計:3825人
こちらのボリュームゾーンは2000万~2500万円未満ですね。2000万円以上の割合は、常勤職員は約63%、そのうち行政職俸給表(一)適用者であれば約85%が、定年退職金として2000万円以上を手にしているということが分かりました。
やはりイメージ通りの結果と感じた方も多いかもしれませんね。