企業の現預金に課税しようという案が出ていますが、それで賃上げや設備投資を誘発することは困難だ、と筆者(塚崎公義)は考えています。

高市氏は現預金への課税を検討している模様

自民党の総裁選挙に高市早苗議員が名乗りを上げています。同氏は企業の現預金への課税も検討しているようなので、それについて筆者の考えを記してみました。ただし、本稿は「現預金への課税」というキーワードに反応したもので、同氏を支持するわけでも批判するわけでもありませんので、あしからず。

ちなみに、「財政再建のために増税が必要だ」「不況期に課税するのはケシカラン」といった議論は別途行うとして、本稿では仮に「現預金に課税された税金分は、同額を消費税の減税(または増税の見送り)に使う」ということにします。

企業が現預金を持ちすぎている可能性は大

日本企業は莫大な現預金を持っています。おそらく、適正な水準を大きく上回っているのだろうと思います。もっとも、適正な水準がどこであるのかというのは難しい問題です。現預金を減らせば、企業の利益率は上がるけれども倒産の可能性が高まるからです。

現預金の適正水準については、投資家は低くても構わないと考え、経営者は高い方が良いと考える傾向にあるわけですが、これについては別の機会に論じることにします。

とりあえず本稿では、日頃の取引に必要な水準プラス資金繰り倒産を防ぐために必要な水準ということにしておきましょう。