「わが家の収入・貯蓄」子どもに伝えるべきか
あくまでも私の考えですが、高校生くらいまでの間は基本的に、親の収入や貯蓄額までは伝える必要はないと思います。うっかり友達にこうした金額を伝えてしまって思わぬトラブルになるのも避けたいですし、そんなに必要な情報ではないからです。
金融広報中央委員会が行った「第3回 子どものくらしとお金に関する調査」によると、高校生のお小遣いの平均は月額5114円。そのほとんどが、友達との飲食や遊びに行くときの交通費やチケット代、昼食代などに使われています。
ほとんどの高校生にとって、家賃や水道光熱費といった暮らしにかかる固定費、国に納める税金や社会保険料などの必要経費は見えていないのが実情です。
そこで、私からの提案ですが、お子さんがお金の話に興味を持って質問してきたら、毎月の家計について教えてあげましょう。
「家計の流れ」が分かれば、働くことの大切さに気付く
毎月の家計からは、家賃や住宅ローン、水道光熱費、通信費、学校の授業料や塾代などが出ていき、こうした固定費を支払った残りで、食費やレジャー費、お小遣いなどをやりくりしていることを伝えてあげます。このほか、子どもの教育費や自分たちの老後資金など将来必要になるお金もやりくりしながら貯めていることも伝えましょう。
こうして暮らしを成り立たせるためには、安定した収入が必要です。そのためにいま、大人たちががんばって働いているのであり、子どもたちが将来、自立して自分の力で暮らしていくためには、安定的な収入確保が必要になることなどを、子ども自身がイメージできるように話をしてあげてください。
私が以前、授業を担当した高校の生徒さんは、「アルバイトではお小遣いは稼げても、家を買ったり子どもの教育費を貯めたりするのは大変かも……」といった感想をくれました。子どもが将来を考え始めるタイミングで、こうしたことに自分で気づくことこそ重要でしょう。
こうした親子の会話が、子ども自身が働くことの大切さを実感し、将来のキャリアビジョンを描くことにつながります。
焦らずに、子どもと目線をあわせながら、その時々で必要なことを伝えてあげてください。
参考資料
ハートマネー代表 氏家 祥美