世間から見れば申し分のない稼ぎがあるはずなのに、「暮らしに余裕がない」「貯蓄ができない」といったお悩みを抱える家庭もあるでしょう。総務省の「家計調査報告(貯蓄・負債編)」によると、「年収が1000万円を超えていても、貯蓄は100万円未満」などという世帯が一定数存在するようです。
収入が増えると家族の生活レベルも上がるケースは少なくないでしょう。ただし、先々の出費を見据えた貯蓄分をまず確保し、その残りでやりくりしていくことが大切です。
今回は、年収ゾーンごとの支出の傾向などのデータから、「高収入でも生活が苦しい」ケースの背景を考えていきます。「年収が上がると増える支出」が一つのカギになるかもしれません。
年収が上がると増えやすい支出とは?
さて、年収が上がると、どんな支出が増えやすいのでしょうか。総務省統計局の「家計調査 家計収支編 2020年」(第2-3表)をもとに、年間収入階級別の1世帯当たり品目別支出金額をのぞいていきます。ここでは、「食料」「被服および履物」「教育」「教養娯楽」の5項目にフォーカスします。
1世帯あたりの平均所得金額の中央値である437万円(※1)が含まれる「年収400万円~450万円」と、1000万円のラインを超えた「年収1000万~1250万円」の年収ゾーン(※2)も比較してみましょう。
※1 厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査」
※2 本文中では便宜上、各年収ゾーンを「年収400万円世帯」「年収1000万円世帯」のように表記していきます。
世帯年収ごとにみた「ひと月の食費」
家計調査 家計収支編より「食料」の項目を抜粋
平均…7万6440円
- 200万円未満…4万9235円
- 200万~250万円…5万7014円
- 250万~300万円…6万898円
- 300万~350万円…6万5219円
- 350万~400万円…6万7186円
- 400万~450万円…7万1543円
- 450万~500万円…7万1686円
- 500万~550万円…7万6049円
- 550万~600万円…7万7816円
- 600万~650万円…7万7807円
- 650万~700万円…8万277円
- 700万~750万円…8万1265円
- 750万~800万円…8万300円
- 800万~900万円…8万3786円
- 900万~1000万円…9万837円
- 1000万~1250万円…9万5474円
- 1250万~1500万円…10万4151円
- 1500万円以上…11万5918円
世帯年収ごとにみた「服や靴など」にかけるお金
家計調査 家計収支編より「被服及び履物」の項目を抜粋
平均…8799円
- 200万円未満…2997円
- 200万~250万円…4066円
- 250万~300万円…3845円
- 300万~350万円…4890円
- 350万~400万円…5489円
- 400万~450万円…6716円
- 450万~500万円…6693円
- 500万~550万円…7915円
- 550万~600万円…8343円
- 600万~650万円…9200円
- 650万~700万円…1万55円
- 700万~750万円…1万412円
- 750万~800万円…9459円
- 800万~900万円…1万2086円
- 900万~1,000万円…1万2196円
- 1000万~1250万円…1万5007円
- 1250万~1500万円…1万7543円
- 1500万円以上…2万4171円
実は、「食費」はすべての年収ゾーンで最も高い出費項目です。そして、年収が上がるにつれて増えていきますが、年収1000万円世帯では、年収400万円世帯の1.3倍程度です。もっと差があると思っていた方も多いかもしれませんね。
服や靴などにかけるお金は、年収1000万円世帯では、年収400万円世帯の約2.2倍です。