海外の副業事情
少し悲しい話になってしまいましたが、長期的な展望のために海外事情をみてみます。副業大国とも呼ばれるアメリカの事情をみてみましょう。
2019年のアメリカの調査では「アメリカ国民のうち、ほぼ半数が副業を行なっている」と報告されています(Survey: Nearly 1 in 3 side hustlers needs the income to stay afloat)。このレポートはさらに、アメリカで副業をする人は、平均週12時間働き、月平均1122ドル(約12万円)の収入を得ているとしています。
アメリカでの副業事情を考えるうえでは、やはり“ギグワーク"の概念がポイントとなります。ギグワークの意味は、「多様なライフスタイルや人生のステージにあわせ、自由に、必要なときに必要なだけ働く、 夢や可能性を諦めない新しい働き方」。
具体的には、インターネットを使って単発の仕事を受発注するビジネスモデルのことです。日本で言えば、お馴染みのウーバーイーツやクラウドソーシングのランサーズなどが代表例としてあげられます。アメリカでは、このギグワークが発達しています。
ただ、日本がギグワーク後進国かといえば、そうでもなく、現在の日本国内でのギグワーカーの数は700万人に達するともいわれています。もちろんアメリカとは規模が違いますが、結構、アメリカを必死に追走しています。
個人的には「副業」と「複業」の違いということを、最近、なんとなく考えます。副業の英訳は一般的に「サイドビジネス」として知られていますが、アメリカでは熱意を持って取り組み、場合によっては本業以上に没頭できる副業を「サイドハッスル」と呼ぶそうです。
サイドハッスルに従事している人の感覚は、多分「副業」ではなく、もはや「複業」なのでは、という気がします。そのような感覚を持った人が日本でも増えれば、本格的な副業時代が到来するのではと思えるのです。
とはいえ、まだ相当、先の話かもしれませんが。
参考資料
- 第二回 副業の実態・意識に関する定量調査(2021年8月16日、パーソル総合研究所)
- Survey: Nearly 1 in 3 side hustlers needs the income to stay afloat(2019年6月5日、Bankrate)
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ギグワーカーをめぐる法整備が急務だ(2021年4月2日 週刊東洋経済Plus)
榎本 洋