内閣府の「令和3年版高齢社会白書」によると、日本の総人口は2020年10月1日現在、1億2571万人です。

そのうち、「65歳~74歳人口」は1747万人、総人口に占める割合は13.9%。「75歳以上人口」は1872万人、総人口に占める割合は14.9%で、65歳~74歳人口を上回っている状況です。

現役世代のみなさんにとって、「将来の70代」は、仕事も定年退職し悠々自適なセカンドライフを過ごしているだろうと、夢に描いている方も多いのではないでしょうか。

私は以前、生命保険会社に勤務し、数多くのお客さまから老後のお金の相談を受けてきました。その経験もふまえ、皆さんの身近な存在にも多いであろう「現在の70代」の方々を参考に、貯蓄・年金事情についてみていきたいと思います。

定年後70代、みんなの貯蓄額は?

さっそく、70歳以上世帯の貯蓄額を、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」をもとに見ていきましょう。

70歳以上・二人以上世帯「金融資産保有額」

(金融資産を保有していない世帯を含む)

  • 金融資産非保有:18.6%
  • 100万円未満:4.3%
  • 100~200万円未満:4.1%
  • 200~300万円未満:2.6%
  • 300~400万円未満:3.0%
  • 400~500万円未満:2.6%
  • 500~700万円未満:6.5%
  • 700~1000万円未満:6.3%
  • 1000~1500万円未満:11.9%
  • 1500~2000万円未満:8.0%
  • 2000~3000万円未満:10.4%
  • 3000万円以上:19.0%
  • 無回答:2.6%

平均:1786万円
中央値:1000万円

平均値は一部の極端に大きい値に影響されて、数値が大きくなりやすい傾向があります。一方で、中央値は貯蓄額を少ない順、あるいは大きい順に並べたとき全体の真ん中にくる値で、平均よりも実態を反映しやすいと言われています。

よって、ここでは平均の1786万円より、中央値の1000万円のほうが、身近に感じやすく、参考にしやすい値といえるかもしれません。

また気になる点として、3000万円以上の世帯が19.0%、金融資産非保有(=貯蓄ゼロ)世帯が18.6%と、ほぼ同じ割合で存在する「二極化」状態となっています。

老後の貯金格差を浮き彫りとする結果に、他人事とは思えないと感じる人もいるかもしれませんね。

次では70代のみなさんが受け取る「年金」についても確認していきます。