「平均」だけでは、見えない部分
先ほどから見てきたとおり、60歳以降・無職世帯の純貯蓄額をみると、いずれの年齢区分においてもその平均額は2000万円以上で推移していることが分かりました。
かつて金融庁のレポートをきっかけに話題となった「老後2000万円問題」。平均額だけをみると、この「2000万円」ををキープしています。
また、世帯主の年齢を「65歳以上」「70歳以上」「75歳以上」に区分した純貯蓄額を見ても、その減り具合は意外に緩やかであるといえるでしょう。
とはいえ、これらはあくまでも全体の平均です。60代であれば、定年退職金が入ったことでいっきに貯蓄額が上がった世帯もあるでしょう。逆に70代以上であれば、既に貯蓄の切り崩しフェーズに入っている世帯も多いはずです。
今回は詳しく触れませんが、実際の貯蓄額分布を見ると、100万円未満の世帯から4000万円を超える世帯まで、大きな幅があることも分かります。
また、60歳以上・無職世帯のうち「負債保有世帯」のみに絞ると、貯蓄額は1630万円、負債は641万円(うち、住宅・土地のための負債:498万円)となり、全体平均からは大分乖離していることが分かります。(※同調査 第8-23表)。