PGF生命が今年4月に行った「2021年の還暦人(かんれきびと)に関する調査」によると、今年60歳になる人たちの平均貯蓄額は3026万円でした。しかし、その分布を見ると「100万円未満」と回答した人は25.0%(図表1参照)。

4人に1人が貯蓄金額100万円未満という結果に驚きつつも、実際なかなかうまく貯蓄ができないという人も少なくないはず。そして、それは共働きでも同じようです。今回は共働き世帯に聞いた老後生活への不安を紹介し、老後に向けた準備について考えます。

図表1:現段階の貯蓄金額の分布(2021年と2020年の比較)

出所:「2021年の還暦人に関する調査」(プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社)


課題の「老後資金」問題はどうする?

まずは老後資金問題です。老後の生活に必要なお金をどう貯めるか、そもそもいくら貯めればよいのか…。こうしたことについて考えないことには、この問題と向き合うことはできません。

「老後2000万円問題」が世間を騒がせたことで、「とにかく2000万円必要なのだ」と思っている人も多いかもしれませんが、現実はもっと複雑です。

たとえば、50代神奈川県在住のAさんは「老後2000万円が必要だなんて、あくまで一般論に過ぎない。人によって生活水準や家のローンの完済時期、退職金の金額、持病の有無、年金受給額が全部違うワケだから鵜呑みにできない」と警戒しているようです。

Aさん夫婦は共働きですが、子どもの教育費に惜しみなくお金を使い、自分たちの老後資金のことを考慮してこなかったと言います。

「共働きだからと気が大きくなっていた面もあるのかもしれない。子どもは3人とも大学進学、そのうち2人は私立大学で学費をサポートしてきたから、まとまった金額を貯められているわけではない。まだ家のローンもあるし、老後が不安」と話します。