老後に受け取る「年金額」は、現役時代に加入していた年金制度によって大きな違いがありますね。

「国民年金・厚生年金」どちらの年金制度に加入するかは、働き方によってちがいます。また、実際に受給できる金額は、年金加入期間や収入などに左右されるため、個人差が出ます。

今回は、国民年金・厚生年金それぞれの受給額の現状を確認したあと、二つの年金制度の「格差」にも触れていきます。

とりわけ、現役時代の「夫婦の働き方」が、将来の世帯年金収入をどのように左右するか、例を挙げながら考えていきます。

年金のキホン

日本の公的年金制度は「二階建て」構造などと呼ばれます。最初にその基本をおさらいしておきましょう。

国民年金・厚生年金「加入の対象」

  • 1階部分「国民年金」・・・日本に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務
  • 2階部分「厚生年金」・・・公務員や会社員などが「国民年金」に上乗せして加入

国民年金・厚生年金「老後に受給できる年金」

●国民年金だけに加入していた人…自営業、フリーランス、専業主婦(夫)

「老齢基礎年金」(1階部分のみ)

●厚生年金に加入していた人…サラリーマン・公務員など

「老齢基礎年金」+「老齢厚生年金」(1階部分+2階部分)

国民年金「今のシニアの受給額」

ここからは、厚生労働省年金局の「令和元年(2019年)度 厚生年金・国民年金事業の概況」から、現在のシニア世代のみなさんが、どの程度の年金を受給しているかを確認します。

自営業・フリーランス(第1号被保険者)や専業主婦など(第3号被保険者)が受け取る国民年金(老齢基礎年金)からみていきます。

国民年金平均年金月額

全体…5万5946円
男性…5万8866円、女性…5万3699円

国民年金【男女別】年金受給額分布

国民年金【男性】年金月額階級別老齢年金受給権者数

1万円未満…1万2693人、1万円以上~2万円未満…6万803人
2万円以上~3万円未満…22万1983人、3万円以上~4万円未満…70万6206人
4万円以上~5万円未満…134万5582人、5万円以上~6万円未満…312万4529人
6万円以上~7万円未満…849万4551人、7万円以上…38万1323人

国民年金【女性】年金月額階級別老齢年金受給権者数

~1万円未満…6万6247人、1万円以上~2万円未満…24万4695人
2万円以上~3万円未満…74万63人、3万円以上~4万円未満…226万4161人
4万円以上~5万円未満…336万406人、5万円以上~6万円未満…454万1337人
6万円以上~7万円未満…598万7227人、7万円以上…144万306人

 

国民年金の受給額には男女差はほとんどありませんね。ちなみに、国民年金保険料は、一律で1万6610円(※1)です。また、国民年金(老齢基礎年金)の年金額には満額が設定されており、6万5075円(※2)です。年金を納めていない期間に応じて満額から年金額が減らされる方式がとられています。

※1,2 ともに令和3年度の月額です。