「投資したら放っておけばいい」と思っていませんか?2027年に「こどもNISA」の開始を控え、NISAを始める人はますます増えそうですが、実は「ほったらかし投資」には正しいやり方があります。最初の設定を間違えると、せっかくの非課税メリットを十分に活かせないかもしれません。

「ほったらかし投資」を成功させる4つ条件と、20年で資産がどう変わるかをシミュレーションで解説します。

1. 【新NISAほったらかし投資】初心者でも始めやすい3つの理由

「ほったらかし投資」とは、一度購入したら頻繁に売買せず、長期にわたってそのまま運用を続ける投資スタイルです。投資信託を毎月一定額ずつ買い続ける「積立投資」と組み合わせるのが一般的で、NISAでも実践できます。

この方法が初心者にも向いているのには、主に3つの理由があります。

1.1 買い時を悩む必要がない

積立投資は毎月決まったタイミングで自動的に買い付けが行われます。そのため、相場を見ながら「買い時」を判断する必要がなく、投資の知識や経験が少ない人でも始めやすい仕組みとなっています。

1.2 少額から始められる 最低100円からOK

積立投資は月々1万円程度の少額からスタートでき、ネット系金融機関などでは100円から始められる場合もあります。無理のない金額で資産形成を進められる点は、初心者にとってうれしいポイントです。

1.3 ドル・コスト平均法で「高値づかみ」を避けられる

積立投資は購入タイミングが分散するため、価格が高いときも安いときも一定額を買い続ける「ドル・コスト平均法」の効果が働きます。これにより購入単価が平準化されるため、いわゆる「高値づかみ」のリスクを抑えやすくなるメリットもあります。

1.4 ほったらかしは「完全放置」ではない!年1回は現状確認を

ただし、「ほったらかし投資」は「何もしなくていい」という意味ではありません。完全に放置するのではなく、定期的な確認も忘れないようにしましょう。

「ほったらかし投資」は、相場の上下に一喜一憂せず、長く運用することで大きなリターンを得ようという狙いがあります。一方で、運用を続けるとポートフォリオが当初の設定から崩れてくるため、あまりに放置することも望ましくありません。

年に1回程度は運用状況を確認し、当初の方針と運用実績にズレが生じていないかをチェックする習慣を持ちましょう。

2. 【新NISAほったらかし投資】成功させる4つの条件

「ほったらかし投資」で失敗しないため、知っておきたい4つのポイントを解説します。

2.1 条件①:株式の比率を厚めに 積立投資は必要利回りが高い

1つ目のポイントが「株式比率を高めにすること」です。低利回りによる目標額への未達を避けるため、比較的リターンが高い株式の比率を高めるようおすすめします。

積立投資は小さい額で運用を始めるため、一括投資と比べると必要な利回りは高くなります。

例えば、10年後に2000万円を目指す場合、最初に1000万円を投資できるなら利回りは7.2%で十分です。しかし、毎年100万円を積み立てる計画だと、必要な利回りは12.4%に上昇します。

投資手法別・利回り別の資産総額1/4

投資手法別・利回り別の資産総額

出所:著者作成

株式は一般にリスクが高い分、リターンにも期待できる資産です。比率を下げ過ぎず、ある程度はポートフォリオに組み込むようにしましょう。

2.2 条件②:「インデックス型」を選ぶ 「アクティブ型」より優秀な実績

続いて「インデックス型」を中心に選ぶこともポイントです。インデックス型とは、日経平均株価やS&P500のように、特定の指数(=インデックス)への連動を目指して運用する投資信託を指します。

インデックス型を選びたい理由は良好な運用実績です。つみたて投資枠の対象ファンドは、より高いパフォーマンスを目指す「アクティブ型」よりもインデックス型の方が高い利回りを残してきました。

【つみたて投資枠対象インデックス型ファンドの5年実績リターン】

  • 国内株式型:15.2%(同アクティブ型:9.7%)
  • 先進国株式型:23.2%(同15.5%)
  • グローバル株式型:21.0%(同12.7%)
  • バランス型:10.2%(同11.7%)

※2025年末(年率)

出所:金融庁『「国内運用会社の運用パフォーマンスを示す代表的な指標(KPI)の測定と国内公募投信についての諸論点に関する分析」の公表について』

優秀なアクティブ型もあるはずですが、「ほったらかし投資」なら銘柄を選別する労力も抑えたいところです。インデックス型が無難といえるでしょう。

※これは過去の実績であり、将来の運用成果を保証するものではありません。直近10年は米国株を中心とした歴史的な上昇相場であった点に留意が必要です。

2.3 条件③:信託報酬が低い銘柄を選ぶ 長期でリターンの差に

3つ目のポイントが信託報酬(運用管理費用)です。投資信託の保有中に毎営業日かかるコストで、運用が長期になるほどリターンに与える影響が大きくなります。

銘柄を選ぶ際は、できるだけ信託報酬が低い銘柄を選びましょう。信託報酬は目論見書(もくろみしょ)などに記載されています。

2.4 条件④:無理のない積立額を設定する 長期運用で「複利効果」を最大化

4つ目のポイントが積立額です。無理なく続けられるよう、積立額は生活に影響しない範囲で設定しましょう。

「ほったらかし投資」は、長く運用することで利益を積み上げる「複利効果」に期待できますが、頻繁に売買するとこの効果が弱まり、運用効率の低下が懸念されます。

目安として、当面の生活費や緊急時の出資に備える「生活防衛費」を確保したうえで、積み立ては月々の収支に影響しない金額で行うことが大切です。

3. 【新NISAほったらかし投資】20年間の運用シミュレーション「株と債券の比率」3パターン

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)によると、2024年までの30年間と同様の経済状況が続くと仮定したとき、各資産の期待リターンは株式が国内と外国の平均で年率5.1%、債券が同1.35%です。

これを前提にシミュレーションしてみましょう。毎月5万円を20年間積み立てる想定です。

3.1 株式70%、債券30%の運用シミュレーション

  • 株式多めの積極的ポートフォリオ
  • 期待リターン3.975%、20年間の利益614万円

全体の7割を株式で構成した積極的なポートフォリオです。構成比からポートフォリオの期待リターンは3.975%となります。20年間の積み立てで利益は614万円、総額は1814万円に達する計算です。

株式70%、債券30%の運用シミュレーション2/4

株式70%、債券30%の運用シミュレーション

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

3.2 株式50%、債券50%の運用シミュレーション

  • GPIFと同じポートフォリオ
  • 期待リターン3.225%、20年間の利益474万円

株式と債券を半分ずつ保有するポートフォリオで、GPIFと同様の資産構成です。20年間で利益は474万円、資産総額は1674万円に達します。

株式50%、債券50%の運用シミュレーション3/4

株式50%、債券50%の運用シミュレーション

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

3.3 株式30%、債券70%の運用シミュレーション

  • 債券を厚めにした保守的ポートフォリオ
  • 期待リターン2.475%、20年間の利益346万円

全体の7割を債券で構成する保守的なポートフォリオです。期待リターンは上記2ケースと比べ低いものの、20年間の積み立てで資産は346万円増え、総額は1546万円に届きます。

株式30%、債券70%の運用シミュレーション4/4

株式30%、債券70%の運用シミュレーション

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

※本シミュレーションは過去の実績を基にした試算であり、将来の成果を保証するものではありません。市場環境により資産が大きく減少するリスクもあり、常に右肩上がりで推移しない点に注意が必要です。

4. 【新NISAほったらかし投資】長期目線が大切 頻繁な売買は禁物

「ほったらかし投資」は最初の設定が成否を左右します。積立投資を行うなら株式比率を高めに設定し、信託報酬の低いインデックス型ファンドを中心に選びましょう。積立額は、生活防衛費を確保し、無理のない範囲に設定する工夫も欠かせません。

そして、運用を始めたら頻繁な売買は禁物です。相場の上下に慌てず、長期運用を心がけましょう。ただし、完全な放置も危険なため、年に1回程度は運用状況を確認する習慣を持つことも大切です。

参考資料