いざ、年金で生活を始めようと思ったときに、受給額が想像以上に少なかったらどうしますか。
現役世代の間に、資金が不足するような事態が起こった場合(マイホームやマイカーの購入、子供の教育費など)は、銀行などから融資をしてもらうことも可能かもしれません。
しかし、老後の生活費に困るようなことになったらどうでしょうか。
親族に頼ることや、国や自治体の保障に頼ることはできても、老後のタイミングに自身で資金を調達することは、難しい状況になるのではないでしょうか。
そうなると、せっかく自由な時間が増え、悠々自適なセカンドライフを過ごすはずが、制限や我慢の多い生活となってしまう可能性もありますよね。
誰しもが、そのようなことは避けたいと考えるのではないでしょうか。
私は生命保険会社に勤務した経験があり、ファイナンシャルプランナーとして多くのみなさんのお金にまつわる相談を受けてきました。
そこで今回は、いくらくらいの年金額を、どの程度の人数が受け取っているか、いまどきシニアの「年金受給額」事情を、整理していきたいと思います。
国民年金「いまの、シニアの受給額」
まず皆さんが一般的に国民年金と呼んでいる「老齢基礎年金」から見ていきましょう。
厚生労働省年金局が公表する「令和元年度(2019年)厚生年金・国民年金事業の概況」によると、男女別の受給権者数は以下の通りです。
国民年金 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数
〈男子〉平均年金月額:5万8866円
- ~1万円未満:1万2693人
- 1万円~2万円未満:6万803人
- 2万円~3万円未満:22万1983人
- 3万円~4万円未満:70万6206人
- 4万円~5万円未満:134万5582人
- 5万円~6万円未満:312万4529人
- 6万円~7万円未満:849万4551人
- 7万円以上:38万1323人
〈女子〉平均年金月額:5万3699円
- ~1万円未満:6万6247人
- 1万円~2万円未満:24万4695人
- 2万円~3万円未満:74万63人
- 3万円~4万円未満:226万4161人
- 4万円~5万円未満:336万406人
- 5万円~6万円未満:454万1337人
- 6万円~7万円未満:598万7227人
- 7万円以上:144万306人
国民年金全体の平均年金月額は5万5946円となっており、男女問わず受給金額に大きな差はありませんね。
これは、国民年金が、日本国内に住むすべて20歳から60歳の人を加入対象としており、保険料については定額制(保険料額=基本額1万7000円×保険料改定率)をとっていること、また20歳から60歳の40年間すべて保険料を納付すれば「満額」(78万900円×改定率)が受け取れ、納付期間が足りない場合はその割合を満額から差引く計算方式をとっているためと考えられます。