幅広い知識を吸収する機会が減っている?

日本語をめぐる環境の変化として、若年層を中心にテレビや新聞離れが加速していることがあります。良い意味でも悪い意味でも、こうした昔からあるメディアは様々な分野の知識や語彙を伝える役割を担っていました。

それに対し、今ではスマートフォンの登場や技術の進化により、個々の趣味嗜好に合わせたニュースや動画が次々に表示されるようになっています。言うなれば、より便利な社会になった一方で、「幅広い知識を吸収し、様々な言葉を獲得する機会」が減少しているという側面もあるのです。

親としては情報が偏りやすい時代であることを認識し、メディアが伝える時事的な話題について話し合ってみるなど、家庭での会話を通して子どもの語彙力を広げていくことを考えなければならないでしょう。

「書く」「説明する」能力を伸ばす試み

今は、義務教育でも書くことや説明する機会を増やす方向にあります。つまり小学生の頃からプレゼンテーション能力の素地を作ろうとしており、社会に出てから役に立つ実践的な能力を身につけることが重視されています。

何かを書いたり人に説明したりする時には、「相手により伝わりやすい文章」を考える必要があります。そのため、こうした教育の中で日本の子どもの読解力が改善する可能性はあります。

もちろん、これまでのように読書を通じた語彙力獲得は子どもの国語力を下支えし、読解力が伸びやすくなります。それと同時に幅広い分野の知識や語彙に触れる機会が減っている現実を受け止め、対策を講じていくことも必要です。

そうしたことを意図的に行っている家庭とそうではない家庭では、子どもの読解力格差が広がりかねないことも意識しておくべきでしょう。

参考資料

中山 まち子