ちなみに、2015年からはコンピュータ使用型問題が導入されており、読解問題は横書きのブログ形式の文章や企業のウェブサイト、オンライン雑誌記事などデジタル化社会を反映したものとなりました。

ある意味、子どもたちにとって普段のテストより身近な文章かもしれませんが、文部科学省・国立教育政策研究所の「OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント」では、以下のような課題や問題点が挙げられています。

  • テキストから情報を探し出す問題や、テキストの質と信ぴょう性を評価する問題などの正答率が比較的低い。
  • 自由記述形式の問題において、自分の考えを他者に伝わるように根拠を示して説明することに課題がある。

「分からない言葉が多かった」

日本語には、漢字、ひらがな、カタカナの3種類の文字を組み合わせるという複雑さがあります。そして、その3つの文字で記されている言葉の意味を理解していないと、テスト問題の文章が分からず正しい答えを導くことができません。

2018年には『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』という本がベストセラーになりましたが、教科書が読めない、理解が怪しいというケースは実際にあります。身近なところでは、筆者の子どもの同級生に教科書に出てくるほとんどの漢字にフリガナを書き込んでいる子がいると聞き、驚いたことがありました。

PISAの調査結果の要約でも、「PISAの調査問題における難しさの認識」という問いに対して、日本の子どもは以下の3項目に「まったくその通りだ」および「その通りだ」と答えた割合がOECDの平均より高いと指摘されています。

  • 「分からない言葉が多かった」
  • 「自分には難しすぎる文章が多かった」
  • 「複数ページを読んでいるうちに、どこを読んでいるのかわからなくなった」