寡婦年金の支給条件
10年以上保険料(免除期間も含む)を納めた第1号被保険者の夫が死亡すると、10年以上婚姻関係(事実婚も含む)があったことを条件に、妻が60歳~65歳の期間に限り支給されます。金額は夫の老齢基礎年金の4分の3で、夫が老齢基礎年金や障害年金を受けていた場合は支給されません。
死亡一時金の支給条件
36か月以上保険料(免除期間も含む)を納めた第1号被保険者の夫が死亡すると、夫が納めた保険料の額に応じて12万円~32万円が一時金として妻に支給されます。ただし、夫が老齢基礎年金や障害基礎年金を受けていた場合は支給対象となりません。
死亡一時金は1回だけの支給で最大32万円のため、支給要件が合えば寡婦年金の方が有利といえます。ただ、死亡一時金はすぐ支給されますが、寡婦年金は60歳になるまでもらえないという点がデメリットでしょう。
まとめ
夫に先立たれて一人暮らしになっても、食費をはじめとする生活費や光熱費などの固定費、税金や社会保険料といった出費は大幅には減りません。さらに高齢になると医療費がかさみ、万一の場合には入院費なども必要となります。
そうした暮らしを支える術の一つが遺族年金ですが、遺族厚生年金の支給金額は、加入していた期間や支払った保険料金額によってかなり変わります。また厚生年金に加入していた妻の場合は個々に違ってくるため、この記事で紹介したケースはあくまでも目安としてとらえてください。
遺族年金は社会保障のセーフティーネットですが、受け取れなかったり金額も少なかったりと、残された妻にとっては厳しい面もあります。ただ、その仕組みや内容を知っておくことで、年金以外の老後資金を早くから準備するなどの対策を行うきっかけになればと思います。
参考資料
- 令和3年度の年金額改定について(厚生労働省)
- 遺族基礎年金、遺族厚生年金、寡婦年金、死亡一時金(日本年金機構)
通販研究所・渡辺 友絵