②の標準的な受給額から2人分の国民年金を引くと、厚生年金は約9万円となります。ただ、納めた期間などさまざまな要素で変わってくるため、あくまでも目安としてください。

このモデルケースをもとにして、遺族年金がいくらぐらい支給されるのかを試算してみましょう。事例なのでわかりやすいように、妻が専業主婦で、子どもがいないかまたは成人していると仮定します。

前述しましたが、この場合は夫が第1号被保険者であっても第2号被保険者であっても、妻は「遺族基礎年金」はもらえません。

夫が第2号被保険者だった場合は「遺族厚生年金」はもらえますが、夫が支給されていた厚生年金の4分の3にあたる金額となります。

上記のモデルケースでは厚生年金の月額が約9万円だったので、年間では単純計算で12を掛けると約108万円です。その4分の3ですから、年額でおよそ81万円となります。つまり、このケースにおいては年間27万円減となるわけです。

ちなみに、①で示した1人分(妻)の国民年金月額は6万5,075 円なので、12を掛けると年間で約78万円となります。これと「遺族厚生年金」の約81万円万円を合わせると約159万円となり、月額はおよそ13万2,500円ということになります。

一方で夫が第1号被保険者だった場合は、妻は自分の国民年金月額である6万5,075円しか支給されません。第2号被保険者の妻と比べると、半額程度になってしまいます。

救済措置の「寡婦年金」と「死亡一時金」はどちらか一方を選ぶ

このように、遺族年金をもらえない第1号被保険者の妻を救済するために作られた制度が、「寡婦年金」と「死亡一時金」です。どちらか一つを選ぶ仕組みで、両方を利用することはできません。