2021年4月、改正高年齢者雇用安定法のスタートによって、70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となりました。
働くシニア世代を後押しする制度も整いつつあるこんにち。「70代は老後の入り口」と呼ばれる日は、そう遠くないかもしれませんね。
今回は、2021年5月に公表された総務省「家計調査」をもとに、70歳以上世帯の貯蓄事情を就業状況別に見ていきます。
シニア世帯の貯蓄事情
「老後のお金」と聞くと、2019年に金融庁のレポートに端を発した「老後2000万円問題」を思い出される方も多いでしょう。
モデルケースとなる高齢夫婦世帯について「老後の生活には、年金以外に2000万円が必要である」という試算が出され、メディアで大きく報道されました。
そこで、総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)」から、65歳以上世帯の貯蓄事情を俯瞰します。グラフをごらんください。
世帯主が65歳以上世帯「貯蓄額の分布」
なお、貯蓄保有世帯の中央値は1555万円、平均値は2324万円です。
上のグラフによると、65歳以上世帯の40.7%が、2000万円以上の貯蓄を保有しているようです。その一方で貯蓄300万円未満の世帯も約15.4%存在しています。まさに二極化状態となっていることが分かります。
「平均値と中央値」
「平均値」は、一部の極端な数値の影響を受けて、動きやすいという特徴があります。一方で、「中央値」はデータを順番に並べた時に全体の真ん中にくる値を指します。よって、平均値より中央値の方が、「実感により近い」金額ですので、参考にしやすいといえるでしょう。