今日から8月。そして、8月15日は公的年金の支給日です。
この日、いまのシニア世代は月額どれくらいの年金を受けとっていると思いますか?
年金は、老後の生活を支える「柱」ともいわれていますが、この柱だけで生活できているシニア世帯はいったいどれくらいいるのでしょうか。
本記事で、年金だけで生活できているシニア世帯の割合や、平均年金月額について解説していきます。
1. 老後、年金だけで生活できているシニア世帯は約43%…
2025年7月4日、厚生労働省は「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」をリリース。
これによると、年金を受給する高齢者世帯のうち、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯は43.4%、つまり約6割が公的年金以外のお金が必要な状況にあることがわかります。
老後の生活費が公的年金だけでは不足する場合、働くことによる収入や貯蓄の取り崩し、あるいは運用で得た配当金などを活用する必要があります。
では、現在のシニア世代は、国民年金や厚生年金といった公的年金から、どれくらいの金額を受け取っているのでしょうか。厚生労働省のデータをもとに、具体的な年金額を見ていきましょう。
2. 日本の公的年金制度のしくみ「1階:国民年金」&「2階:厚生年金」の2階建て
将来「国民年金のみ」を受給するのか、「国民年金+厚生年金」を受給するのか、この部分が曖昧な人は、本章で日本の公的年金制度のしくみを確認しておきましょう。
公的年金制度は、「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」から成り立っており、「2階建て構造」といわれています。
「国民年金」と「「厚生年金」、それぞれについて基本を確認しておきましょう。
2.1 国民年金(1階部分)
国民年金は、原則として日本に居住する20歳以上から60歳未満の全員が加入します。職業や国籍は問いません。
- 年金保険料:全員一律(※1)
- 老後の受給額:40年間欠かさず納めれば満額(※2)
- 被保険者:第1号~第3号に区分される(※3)
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
※3 第1号被保険者は農業者・自営業者・学生・無職の人など、第2号被保険者は厚生年金の加入者、第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者
2.2 厚生年金(2階部分)
厚生年金は、会社員や公務員、パート等で特定適用事業所(※4)に働き一定要件を満たした方が、国民年金に上乗せで加入します。
- 年金保険料:収入に応じて決まり(※5)、給与からの天引きで納付
- 老後の受給額:加入期間や納めた保険料により個人差がある
- 被保険者:第1号~第4号に区分される(※6)
※4 1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※5 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。
※6 第1号は、第2号~第4号以外の、民間の事業所に使用される人、第2号は国家公務員共済組合の組合員、第3号は地方公務員共済組合の組合員、第4号は私立学校教職員共済制度の加入者
3. 【厚生年金と国民年金】みんな月額どれくらいもらってるの?
60歳以上の全年齢の受給権者について、「厚生年金」と「国民年金」の平均と個人差を見ていきます。
3.1 【グラフ】厚生年金と国民年金《平均と個人差》
【国民年金】平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
【国民年金】年金月額階級ごとの受給権者数(合計:3345万5786人)
- 1万円未満:5万8811人
- 1万円以上~2万円未満:24万5852人
- 2万円以上~3万円未満:78万8047人
- 3万円以上~4万円未満:236万5373人
- 4万円以上~5万円未満:431万5062人
- 5万円以上~6万円未満:743万2768人
- 6万円以上~7万円未満:1597万6775人
- 7万円以上~:227万3098人
【厚生年金】平均年金月額
※国民年金部分を含む
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
【厚生年金】年金月額階級ごとの受給権者数(合計:1605万4729人)
- 1万円未満:4万4420人
- 1万円以上~2万円未満:1万4367人
- 2万円以上~3万円未満:5万231人
- 3万円以上~4万円未満:9万2746人
- 4万円以上~5万円未満:9万8464人
- 5万円以上~6万円未満:13万6190人
- 6万円以上~7万円未満:37万5940人
- 7万円以上~8万円未満:63万7624人
- 8万円以上~9万円未満:87万3828人
- 9万円以上~10万円未満:107万9767人
- 10万円以上~11万円未満:112万6181人
- 11万円以上~12万円未満:105万4333人
- 12万円以上~13万円未満:95万7855人
- 13万円以上~14万円未満:92万3629人
- 14万円以上~15万円未満:94万5907人
- 15万円以上~16万円未満:98万6257人
- 16万円以上~17万円未満:102万6399人
- 17万円以上~18万円未満:105万3851人
- 18万円以上~19万円未満:102万2699人
- 19万円以上~20万円未満:93万6884人
- 20万円以上~21万円未満:80万1770人
- 21万円以上~22万円未満:62万6732人
- 22万円以上~23万円未満:43万6137人
- 23万円以上~24万円未満:28万6572人
- 24万円以上~25万円未満:18万9132人
- 25万円以上~26万円未満:11万9942人
- 26万円以上~27万円未満:7万1648人
- 27万円以上~28万円未満:4万268人
- 28万円以上~29万円未満:2万1012人
- 29万円以上~30万円未満:9652人
- 30万円以上~:1万4292人
国民年金の場合、全体、男女ともに平均月額は5万円台です。受給額ゾーンごとにみると「6万円以上~7万円未満」が男女ともに最も多くなっており、満額に近い金額を受け取れている人が多いことも分かります。
7万円以上を受給する人がいますが、全員一律の年金保険料を納める仕組み上、これを大きく上回るとは考えにくいです。
厚生年金の場合、全体の平均年金月額は14万円台でした。男女別では、男性16万円台、女性10万円台となっています。
国民年金のみを受け取る場合よりも、厚生年金の受給額は手厚い傾向にあります。しかし、月額10万円くらいの人もいれば20万円くらいの人も、ごく少数ですが30万円以上もの年金を受けとる人もいることがわかりました。
年金受給額には現役時代の働き方や収入が反映されます。そのため、老後に受け取る受給額は、人それぞれ異なります。
「自分の年金はいくらだろう」と思った人は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用して、見込み額を確認しておきましょう。
なお、すでに年金を受け取っている人は、日本年金機構から届く「年金額改定通知書」「年金振込通知書」で確認することができます。
4. 【2025年の年金カレンダー】次の年金支給日は「8月15日(金)」
年金支給日は2カ月に一度、偶数月の15日に、前月までの2カ月分が合算されて支給されるサイクルです。
※15日が土日・祝日の場合は直前の平日に前倒しとなります。
2025年の年金支給日カレンダーを見ておきましょう。
4.1 【一覧表】2025年 年金支給日カレンダー
年金支給日:支給対象月
- 2025年4月15日(火) :2月・3月分
- 2025年6月13日(金) :4月・5月分
- 2025年8月15日(金) :6月・7月分
- 2025年10月15日(水) :8月・9月分
- 2025年12月15日(月) :10月・11月分
5. 2025年6月13日「年金制度改正法」が成立、なにがどう変わっていくの?
2025年6月13日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が参議院本会議で可決され、法律として成立しました。
この改正は多様化する働き方や家族構成、ライフスタイルを踏まえた年金制度を目指すものです。また、私的年金制度の拡充や所得再分配の強化などによって、シニアの暮らしの安定に繋げることなども大切な狙いです。
今回の改正の全体像を見ておきましょう。
5.1 主な改正内容
社会保険の加入対象の拡大
- 中小企業において短時間で働く人などが、厚生年金や健康保険に加入し、年金増額などのメリットを受けられるようにする
在職老齢年金の見直し
- 年金を受け取りながら働くシニアが、年金を減額されにくくなり、より多く働けるようにする
遺族年金の見直し
- 遺族厚生年金の男女差を解消。子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする
保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ
- 月収が一定以上となる人が、賃金に応じた年金保険料を負担し、現役時代の賃金に見合った年金を受給しやすくする
その他の見直し
- 子どもの加算などの見直し、脱退一時金の見直し
- 私的年金の見直し:iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)加入年齢の上限引き上げなど
上記の改正内容からも、公的年金は「老後の受給額」だけの話ではなく、現役世代の働き方やキャリアプラン、人生設計とも深い関わりを持つことが分かります。
6. 「公的年金」以外で老後を支えるお金の準備を
日本が直面している「少子化」は、年金制度に大きな影響を与えています。
現在、日本の年金制度は、「いま働いている人たちの保険料で、いまの年金受給者を支える」という「賦課方式」という仕組みです。
しかし、少子化によって「これから働く世代が減り」、「年金をもらうシニア世代が増えていく」と、この仕組みを維持していくのが難しくなるのでは、と心配されています。
この問題は、すぐに解決できるものではありません。そのため、国は少子化対策をしながら、年金制度をより長く続けられるように見直しを進めているのです。
こうした状況を見て、
「将来、自分たちは本当に年金をもらえるのだろうか」
「老後のお金は大丈夫だろうか」
と不安に感じる人は少なくありません。
国の年金制度がどう変わっていくかを見守りつつも、年金だけに頼らず、自分自身で老後に向けてお金を準備しておくことが、これまで以上に大切になっています。




