老後2000万円問題は「解決」したのか?

2020年の家計収支は2017年と比較して大きく改善していますが、その理由は「支出の減少」「収入の増加」の2つに分けられます。

支出を項目別に見ると、「教育娯楽」「交際費」が大幅に減少しています。教育娯楽費は約5000円マイナス、交際費は約7600円マイナスという結果です。これらはコロナ禍における外出自粛の影響を大きく受けていると考えられるでしょう。

一方、収入の増加のうち多くを占めるのが「特別収入」の項目で、約1万3000円のプラスです。この背景には新型コロナの特別定額給付金があると考えられますね。

一見、老後2000万円問題が解決したかのようにも思えましたが、コロナ禍の影響を大きく受けている様子がうかがえます。今後に関しては、また老後の不足額が増える可能性もあるといえるでしょう。

そもそも家計調査は、今回のように結果が大きく変わる可能性もあります。毎年同じように老後の不足額を計算をすれば、ある年は「2000万円が不足」したり、またある年は「55万円が不足」するという結果になるわけです。

個々の家庭によって支出・収入は大きく変わるため、自分たちに必要な老後資金を計算することが大切だといえるでしょう。

まとめ

「2000万円」にしても、「55万円」にしても、あくまでデータから算出された平均的な数字であり、全ての人に当てはまるものではありません。しかし、豊かな老後生活を送るために、老後資金が重要であることは確かです。

周囲に惑わされることなく、自分たちに必要な老後資金をコツコツ準備していけると良いですね。

参考資料

石黒 杏樹