一方、会社側としては、70歳まで社員を雇用することの人件費をどのように考えているのでしょうか?

会社側としては、50歳~70歳までで合計2億円ほどの人件費を見込んでいると思います。そう考えると、たとえ退職金を6000万円支払ったとしても、20年スパンで見れば、1億4000万円もの経費削減ができたということになります。

つまり、戦力外になってしまったおじさんたちを雇い続けるよりも、若い人材を雇った方が、会社にとって遥かに効率が良いというわけです。こう考えると、特別退職金の誘いに乗せられてホイホイと会社を辞めてしまうのはとても危険なことだと思います。

転職する、しないの判断基準は?

とはいえ、窓際に追いやられ、毎日を消化試合として過ごすよりも、自分を必要としてくれる会社に転職したい!独立したい!と考える方も多いと思います。

もちろん、転職や起業をして失敗するとは限りませんし、人生の選択肢が広がるケースもあるでしょう。それでも、会社を辞めて転職するかどうか、起業するかどうかは、本当に慎重に考えた方が良いと私は思います。

なぜなら、新卒から30年間、同じ会社で働いてきたサラリーマンが50歳を超えて脱サラするのは、生まれてからずっと動物園で飼われてきたライオンが、いきなりサバンナの野生に戻されるのと同じようなものだからです。

実際、転職をすると今まで自分が活躍できたのは大企業の看板があったからで、自分の実力ではなかったと思い知らされることも多いようです。つまり、アラフィフの起業や転職は、もう一度30代に戻って同じ苦労をするくらいの覚悟がないと、かなりキツイということです。

仮にその気力があったとしても若い頃と比べれば体力も落ちていますし、子供たちにもお金がかかる年頃ですから、なかなか冒険をすることもできないでしょう。

では、転職するか、しないかの基準は、どのようにして判断すべきなのでしょうか?

転職をしても大丈夫なケース

まず、転職をしても大丈夫なケースとしては、自分のスキルを十分に活かせるケースが挙げられます。たとえば、あなたが経理や財務のスキルを持っているとすれば、成長段階の企業に必要な人材となれる可能性は高いと思います。また、専門領域の研究職なども重宝がられると思います。

もう1つは、不動産投資などで純資産が1億円を超えている場合も転職はOKだと思います。退職金で一気に繰り上げ返済をすればすぐにFIRE(経済的自立によるアーリーリタイア)ができますし、転職して給料が減ったとしても、家賃収入があるので大きなダメージにはなりません。