2019年、金融庁のレポートで話題となった「老後2000万円問題」をきっかけに、リタイヤ後に向けた目標貯蓄額を「2000万円」とされたご家庭もいらっしゃるかと思います。
理想の老後は人それぞれですので、必要となるお金も変わってくるでしょう。
とはいえ、多くの世帯が現役を引退し、年金を受取りはじめるであろう60代。この時点でどのくらい貯蓄があるかは、その後の生活の安心感を大きく左右するものです。
今回は、総務省統計局が2021年5月18日に公表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2020年(令和2年)平均結果―(二人以上の世帯)」から、60代の世帯の貯蓄事情について深掘りしていきます。
60代の貯蓄事情
前述の「家計調査報告」によると。二人以上世帯の貯蓄現在高の平均値は1791万円で、前年より36万円増加しています。また、負債現在高の平均値は572万円で、前年より2万円増加しています。
そして、60~69歳の貯蓄と負債の平均は以下の通りです。
60~69歳の貯蓄
貯蓄現在高:2384万円
負債現在高:242万円
60代の貯蓄額の平均値は、全体(全年代)における平均値より593万円多いです。貯蓄から負債を差し引いた「純貯蓄額」は2142万円です。
貯蓄額、純貯蓄額ともに「2000万円」の大台には乗りました。
サラリーマンであれば、すでに退職金としてまとまった金額が入った世帯も多いでしょう。さらに、長い間家計を圧迫していた教育費や住宅ローンから解放される世帯が増える頃でもあります。
そんな背景も影響しているのか、平均値だけに着目すると「悠々自適なセカンドライフ」のスタートラインにふさわしい金額であるともいえそうです。
ただし、平均値だけでは「見えない部分」もあります。それが、世帯ごとの貯蓄の差です。
60代世帯の貯蓄分布について、次でていねいに見ていきます。