働き続けるシニア世代を後押しする制度が整いつつあります。定年退職後の再雇用制度を活用したり、経験を生かして起業されたりする方も増えていますね。

とはいえ、やはり60代は多くの人が年金暮らしに移行する時期といえるでしょう。

老後を見据えて貯蓄に励んでいた人の多くは、60代で貯蓄額がピークになっているはずです。

そこで、最近データから60代の平均貯蓄額をご紹介します。さらに、老後の収支状況から、必要な老後資金と対策もお伝えします。

60代の貯蓄額の平均はいくら?

金融広報中央委員会が公表している「家計の金融行動に関する世論調査(令和2年)」から、60代の貯蓄額の平均値と中央値を見てみましょう。

まずは【表1】をごらんください。

※金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和2年)」をもとに筆者作成

60代の貯蓄額の平均は、二人以上の世帯で1745万円、単身世帯で1305万円でした。

平均値は一部の富裕層の貯蓄額の多さによって引き上げられる傾向があるため、貯蓄額が低い世帯から順に並べた時にちょうど真ん中にくる世帯の貯蓄額を表した「中央値」がより実態に近いとされます。

中央値は二人以上の世帯で875万円、単身世帯で300万円です。

このデータには、金融資産を保有していない世帯も含まれており、その割合は二人以上世帯で18.3%、単身世帯では29.4%にもなります。

【グラフ1・2】をごらんください。

※金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和2年)」をもとに筆者作成

貯蓄額の割合も見てみましょう。60代の二人以上の世帯では、割合が一番多くなっているのが3000万円以上の世帯で19.6%、次に多いのが「金融資産非保有」世帯の18.3%となっており、両極端の結果になっています。

60代の単身世帯では、割合が一番多いのが「金融資産非保有」世帯の29.4%、次に多いのが3000万円以上の世帯の13.8%となっており、こちらも両極端の結果でした。

こうなってくると、平均値も中央値も実態を表していないように思います。

持っている人と持っていない人の差が時間の経過とともにますます開いてしまったことが、このような結果となったようです。