ご自身が70代になったときのすがたを想像されたことはありますか?

ちかごろのシニア世代のみなさんは、若々しく元気で、お金の面でも余裕を持ちながら、悠々自適に「やりたいこと」を楽しんでいらっしゃるイメージがあります。とても頼もしく、そして、うらやましくも思えますね。

今回はそんな70代のみなさんの貯蓄事情、そして現役世代が気になる「老後のお金」について、証券会社でファイナンシャル・アドバイザーとしてお客様の資産運用に携わってきた筆者の視点からお話ししてまいります。

70代の貯蓄額と負債額

70代以上といえば、大多数の世帯が年金生活を送られる世代です。

健康面での不安が増える時期でもありますので、ここから先の貯蓄額は老後の暮らしの安心感に直結するといってよいでしょう。

また老後の負債は、毎月の給与を受け取る現役時代とは違い、貯蓄から返済していく可能性が高くなります。よって、貯蓄から負債を差し引いた「純貯蓄」を見ることで、70代の「本当の貯蓄事情」が見えてきそうですね。

そこで、総務省から発表されている「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)」(第8-5表)から、70歳代の貯蓄と負債について見ていきましょう。

ご参考として、50代・60代についても貯蓄額・負債額を抜粋します。

70歳~79歳

平均貯蓄額…2259万円
平均負債額…86万円

【参考】50歳~59歳

平均貯蓄額…1703万円
平均負債額…699万円

【参考】60歳~69歳

平均貯蓄額…2384万円
平均負債額…242万円

70代に入ると負債額が大きく減っていますね。その背景として、長年続いた住宅ローンが、70歳では「完済」となった世帯が多いことなども考えられそうです。

そして、貯蓄から負債を差し引いた70代の純貯蓄は

2259万円-86万円=2173万円

となります。

ただし、ここまでの数値はあくまでも「平均値」です。次では、貯蓄額の分布を確認しながら、平均額からは見えない部分を見ていきます。