上記の「労働者のメリット」でも紹介しましたが、給与デジタル払いが実現すると、外国人労働者のような銀行口座開設のハードルが高い人にも報酬を支払いやすくなります。

企業からすると、そのような報酬支払いに対する懸念がなくなることで、労働力が集まりやすくなる効果が期待できるというわけです。

給与デジタル払いの課題

給与デジタル払いの議論において懸念されているのが、スマホ決済サービスを提供する資金移動業者が経営破綻したときにどうなるかということです。

給与デジタル払いが行われることは、給与すなわち利用者(労働者)のお金が一時的に資金移動業者に預けられることを意味します。万が一資金移動業者が経営破綻した場合の、利用者に対する払い戻しについては懸念が残ります。

また、確実に本人に対して給与を支払うことができるかという課題もあります。厳重な本人確認が必要になるほか、ハッキングや不正送金が起きないようにするためのセキュリティ体制を整備する必要も出てくるでしょう。

おわりに

本記事では、解禁に向けてうごいているといわれる給与デジタル払いについて見てきました。コロナ禍で現金払いからキャッシュレスに移行する動きが広まっているなか、給与デジタル払いが実現すれば、ますますキャッシュレス化が進み、お金の入出金がスマホで完結するようになりそうですね。

参考資料

タナカ チアキ