子供が小学校4・5年生になると、周辺がそわそわしてくるのが中学受験をするかどうかという話題。近所や同じクラスの子の動向に、敏感になっている人も多いのではないでしょうか。
今回は、自身が中学受験をして痛い目にあった、子供が中学受験をして想定外のことが起きたなど、中学受験をした親子のエピソードを紹介します。経験者の声から、改めて中学受験について考えてみましょう。
念願かなって合格!からの燃え尽き症候群に
まず、現役の中学生を抱える保護者Oさん(39歳女性)から聞こえてきたのが、入学後の燃え尽き症候群問題です。
「小学校低学年のうちから受験をゴールに設定して、塾や家庭での学習に必死で取り組んできました。念願かなって志望校に合格したときは、成功体験をさせることができて、親としても安心していたのですが…」
万事順調なはずのOさん親子。その後の予想しなかった展開に困惑しているそうです。
「入学後、どうも成績が上がらず、次第に娘は『学校に行きたくない』と言い出したんです。詳しく聞いてみると、『これまでがんばる理由だった中学受験に合格し、もう何を目標にがんばればいいのかわからない。そもそも勉強は好きじゃない。ママが喜ぶからやっていただけ』と言われ、愕然としました。現在も学校には行けたり行けなかったりですが、せっかく入学したので、なんとか復帰してほしいと願うばかりです」
中学受験に合格することは、ゴールではなくスタートに過ぎません。しかし、特に親主導で中学受験した場合、子供にとっては合格することが最終目標になってしまい、その先も勉強し続けないといけないなんて聞いてない!という状況になることも。
まだ幼い子供に、将来のビジョンを明確に持たせられるかは親次第。何のために受験をするのか、その先にどんな未来が予測されるのかをきちんと話し合っておきたいものですね。
女子校出身がアダとなった大学時代
続いては、現在は一般企業で正社員として働くHさん(30歳女性)の体験談。親の勧めで中高一貫の女子校に進学したHさんがたどった、苦難の(?)青春時代を教えてくれました。
「思春期の6年間まじめに勉学に励んだ私は、一切男性と関わることがなかったため、男女共学の大学に入ってとにかく苦労しました。男性との付き合い方がわからず、新歓コンパで近づいてきた遊び目的の男にまんまとひっかかってしまって。相手が言う『好き』を鵜呑みにして、かなり都合のいい女状態になってしまっていました。それがトラウマとなり、その後も恋愛でろくな思い出がありません。今はなんとか結婚できたからよかったけど、将来子供が生まれても、女子校には行かせたくないです」
思春期の子供が恋愛にうつつを抜かさないよう、男女別学の学校に進ませるという親も多いもの。確かにまだ幼い子供が恋愛で不用意に傷つくようなことは避けられるかもしれませんが、それと引き換えに背負わなくてはならない代償も生まれるようです。
学校生活で得られるのは、勉強以外の経験の部分も大きいはず。思春期に何を経験させておきたいか、受験前によく考えておくべきかもしれません。
コスパ悪すぎと言われた我が家の教育
最後は、息子と娘をそれぞれ中高一貫校に進学させたKさん(58歳)の意見。ぜひ知っておきたい、中学受験の「その後」について教えてもらいました。
「子供2人には幼稚園のときから習い事をさせ、地元の中高一貫校から東京の大学に進学させました。息子は大学進学で上京した途端、遊びほうけて留年。6年間かけて大学を卒業した後は定職にもつかず、バイトで稼いだ生活費も底をつき、今では実家で暮らしています」
息子さんの現状には不本意だろうと予想できますが、お嬢さんはどうなったのかというと…
「娘は大学で心理学を学んでいたんですが、『やっぱり絵を描くのが好き!』と言い出し、卒業後に絵の専門学校に再入学。今では細々とイラストレーターをやってます。FPに老後資金の相談をしたとき、『これまで教育にお金をかけすぎたせいで、収入に対して老後資金が少なすぎる』と言われる始末。先行投資をまったく回収できず、何のために時間とお金をかけたのか、ため息ばかりです。まぁ、2人とも元気で生きてくれているだけで良しとします」
親としては少しでも順風満帆な人生を送れるように導いたつもりでも、子供の意思まではコントロールできないものです。たとえ投資に対して「そんな結果かよ!」と突っ込みたくなる選択だったとしても、子供自身が幸せなのであれば親は受け入れるほかありません。
中学受験の主役は、あくまで子供。親は見返りを求めてはいけないということを、肝に銘じておく必要がありそうです。
人生は想定外のことばかり
努力が将来を保証してくれるとは限りませんが、幼いころに目標に向かって努力をしたことがある人は、その後の人生もがんばれる可能性が高いのかもしれません。
その意味では、中学受験は大いに有意義だと思いますが、人生は想定外のことばかり起こるもの。たとえお金や努力が無駄に思えても、親はドンと構えておく必要がありそうです。子供がどんな人生を歩もうとも、本人なりに何かしら得られるものがあるはずと信じ、そっと応援できる親でありたいですね。
金谷 ひつじ
