今日は「遺族年金」のお話です。

遺族年金とは、国民年金や厚生年金の被保険者または被保険者であった方が亡くなった時に、その方が生計を維持していた遺族が受取れる年金のことです。

一家の大黒柱に「もしものこと」があった際、残された家族が生活するために非常に大事な制度です。しかし老齢年金とはちがい、ほとんどのご家庭で「自然に」話題に出る機会はなかなかないでしょう。

「そんな縁起でもない話!」「わが家の場合、どうなるの?」「しくみ自体が分からない」

遺族年金と聞いて、みなさんはどんなイメージを持つでしょうか。

そこで本日は、大手金融機関で10年以上勤めていた経験がある私から、ちょっと複雑な遺族年金のしくみと、格差や盲点についてお伝えして参ります。

「罠」がいっぱい!?遺族年金の受給条件

それでは、普段はなかなか馴染みのない遺族年金について詳しく見ていきましょう。

遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。亡くなった人が国民年金・厚生年金のどちらに加入していたかで、遺族が受取る年金の内容に差が出ます。

まずは「遺族基礎年金」から見ていきましょう。

遺族基礎年金

国民年金の被保険者等であった方が、受給要件を満たしている場合、亡くなられた方によって生計を維持されていた「子※のある配偶者」または「子※」が、遺族基礎年金を受け取ることができます。

(日本年金機構「遺族年金」より引用)

つまり、遺族基礎年金を受給できる対象者は死亡した方が生計を維持していた、「子のいる配偶者」または「子」に限定されます。よって、子のいない夫や妻は受給できません。

また、子(※)がいる場合でも下記条件に当てはまる必要があります。

  • 18歳になった年度の3月31日までの間にある子。(受給要件を満たした国民年金または厚生年金保険の被保険者(被保険者であった方)が死亡した当時、胎児であった子も出生以降に対象となります。)
  • 20歳未満で、障害等級1級または2級の障害状態にある子。
  • 婚姻していないこと。

(日本年金機構「遺族年金」より引用)

さらに、支給要件として、「被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上あるものが死亡したとき(※)」という原則があるので、生前しっかりと保険料を納めていることが条件になります。

年金額(令和3年4月分から)は、日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)」によると、受け取れる年額は「78万900円+子の加算」になっており、「子の加算」は子供の数によって金額が変わります。

’(なお、遺族基礎年金の支給対象外だった場合でも、条件を満たせば「寡婦年金」「死亡一時金」が受け取れる可能性があります。)

※ただし、令和8年3月末日までは、死亡した人が65歳未満であれば、死亡日の前日時点で、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよい、とされています。