70代以上といえば、ライフワークや家族との時間をゆっくり楽しまれる人が増える世代。
同時に、健康面に不安を感じ始める、就労による収入がなくなるなど、少し心細さを感じる方が増える時期であるともいえそうです。
先の見通しが立ちにくいコロナ禍で、その漠然とした不安がなかなか解消されにくいことは、すべての世代に共通することでしょう。そんな中、セカンドライフを過ごすみなさんにとっては、「貯蓄」は年金生活を支える大切な土台といえます。
日本のシニア世代は、今の若者と比較すると、いわゆる「良い時代」に現役時代を過ごされた方も多いでしょう。若い頃からの貯金や退職金、さらには年金事情の面で、ゆとりがありそうなイメージを持たれることもしばしばあるかと思います。
今回は、そんな70代以上のみなさんの貯蓄事情をながめたあと、セカンドライフを見据えたお金の準備についても考えていきます。
70代以上、みんなの貯金はどのくらい?
まず、金融広報中央委員会が公表した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年調査結果」から、70歳以上の金融資産保有額について確認していきます。
70歳以上・二人以上世帯の金融資産保有額
(含:金融資産非保有世帯)
平均:1786万円
中央値(※):1000万円
同調査によると、リタイヤ後の生活を送る方が大多数である70代以上の貯蓄額は、平均で1786万円、中央値で1000万円でした。
とはいえ、「どのくらいの割合の人が、どのくらいの貯蓄を持っているか」は、平均や中央値だけでは見えない部分です。そこで、次では、70歳以上・二人以上世帯の「金融資産保有金額」の分布を、金額帯ごとにみていきます。
※「平均」と「中央値」ってどうちがうの?
「平均」という言葉は、みなさんも日頃から馴染みがあるでしょう。では、「平均」と「中央値」って、どんな違いがあるかご存じですか?
「平均」には、一部の極端に大きい(または小さい)値の影響を受けて、変動しやすいという特徴があります。この記事でいうと「一部のお金持ち層にひっぱられる形で高額になる」というイメージですね。
一方、「中央値」はデータを順番に並べた時に全体の真ん中にくる値を指します。よって、平均値より中央値の方が実態を反映しているといえるでしょう。