65歳受取開始(受給月額14万円)の場合
100歳時点での受け取り総額・・・5880万円
70歳受取開始(受給月額19万8800円)の場合
100歳時点での受け取り総額・・・受給総額1276万円のプラス(7156万円-5880万円)
75歳受取開始(受給月額25万7600円)の場合
100歳時点での受け取り総額・・・受給総額1848万円のプラス(7728万円-5880万円)
年金の繰下げ受給をするとおトクか?というのは寿命次第ともいえますが、公的年金の最大のメリットは「終身年金」であるということです。
老後も体が元気なあいだは仕事をつづけ、仕事ができなくなった後の収入を年金の切り下げ受給で底上げするというのも選択肢のひとつといえます。
老後生活への不安、「公的年金だけでは不十分」
さいごに、令和元年度に生命保険文化センターが行った「老後生活に対する不安の内容」に関する調査結果をみてみましょう。
老後生活に対する不安の内容(複数回答可)
- 公的年金だけでは不十分:82.8%
- 日常生活に支障が出る:57.4%
- 退職金や企業年金だけでは不十分:38.8%
- 自助努力による準備が不足する:38.5%
- 仕事が確保できない:31.6%
- 配偶者に先立たれ経済的に苦しくなる:21.9%
- 貯蓄等の準備資金が目減りする:16.0%
- 子どもからの援助が期待できない:13.8%
- 利息、配当収入が期待通りにならない:11.5%
- 住居が確保できない:5.4%
- その他:0.7%
- わからない:0.3%
「公的年金だけでは不十分」が8割超と他の項目と大きく差をつけての1位、「日常生活に支障が出る」という身体的な心配も約6割という結果です。
「子どもからの援助が期待できない」という回答も1割程度ありますが、今後少子化が進むとますます自助努力による準備が重要になるといえるでしょう。
まとめにかえて
老後の年金を増やすためには、今回紹介した「年金の繰下げ受給」または、厚生年金受給者であれば現役期間中の収入を上げ、厚生年金保険料を多く払うという方法があります。
とはいえ、日本経済は低迷が続き収入を上げることも簡単ではありませんし、働きすぎて体をこわしても本末転倒です。
老後資金の不安を解消したい方におすすめの方法は、資産を貯めておくのではなく、資産を運用してお金にも働いてもらうことです。
資産運用をおこなう上で、運用期間を長く取れると大きなアドバンテージになります。少額からでも今からはじめてみることをおすすめします。
参考資料
厚生労働省「公的年金制度のしくみ」
厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」
令和2年12月厚生労働省年金局「令和元年度 厚生年金・国民年金事業の概況」
生命保険文化センター「老後の生活にどれくらい不安を感じている?」
尾崎 絵実