「親が子どもに就いてほしい仕事」「学生の就職希望先」といったアンケート調査などでしばしば上位にランクインする公務員。
世の中のニーズが激変するコロナ禍。景気の影響を受けやすい民間企業の会社員と比較したとき、「官公庁勤務なら安心できそう」というイメージを持つ人が増えるのは、ある意味自然なことでしょう。
とりわけ、難しい採用試験をくぐりぬけた国家公務員は「安定性抜群」のイメージを持たれることが多いようです。一方、有事の際にはブラック企業さながらの超過勤務ぶりが話題になることが多いのも確かです。
昨今のコロナ禍も、その好例といえるでしょう。
2021年5月現在、国家公務員の定年は60歳です。この年齢を段階的に65歳まで引き上げる国家公務員法改正案が、先日閣議決定されました。政府はこの会期中の成立を目指しています。そこで、今回は、公務員の退職金事情に目を向けていきます。
はじめに「国家公務員とは」
公務員は、大きく国家公務員と地方公務員に分けることができます。
- 国家公務員・・・立法、司法、行政という国家の運営に関連した業務を行う
- 地方公務員・・・採用された地域に密着した行政サービスを主に行う
2020年10月人事院の「国家公務員給与の実態」によると、公務員の人数は、国家公務員が約58万6000人、地方公務員が約274万4000人。うち、人事院の給与勧告の対象となるのは、「給与法の適用を受ける一般職の国家公務員」の約27万8000人です。
では、本題の「国家公務員」の退職金事情をながめていきます。