企業型確定拠出年金。なんだか言葉を聞くだけでも、難しそうな制度ですよね。
会社員の人の中には、自分が入っていることは知っているけど、実はよくわからない・・・という人は多いのではないでしょうか。
企業型確定拠出年金(以下企業型DC)はどのような制度なのか、自分が加入しているなら、なおさら気になるところです。
本日は、日系証券会社で10年以上の勤務経験がある私から、「企業型DCを賢く運用するコツ」についてお伝えします。
企業型DCとは
まずは、企業型DCの内容について、一般社団法人投資信託協会のHPから一部抜粋して説明します。
企業型DC
企業が掛金を拠出してくれ、従業員が運用する制度。運用成績によって退職後に受け取る額が変わる。
ポイント
① 企業が掛金を毎月従業員の年金口座に積み立て(拠出)してくれる
② 従業員自らが年金資産の運用を行う
③ 運用成績によって将来受け取れる退職金・年金が変動する
従業員が自動的に加入する場合と、企業型DCに加入するかどうかを選択できる場合があり、積み立てた年金原資は原則60歳まで引き出せません。
また、運用成績により、将来受け取れる一時金(退職金)や年金が変わってきます。
掛金の金額については、会社での役職等に応じて決まるのが一般的ですが、掛金の上限額は以下の様に決まっています。
・他の企業年金がある場合:月額2万7500円
・他の企業年金が無い場合:月額5万5000円
勤め先に企業型DCの制度があるのか、自分がそもそも企業型DCに加入しているか、また月々いくら掛けているかについて、一度会社に確認してみるとよいでしょう。
企業型DC、加入者はどのような運用をしているか
企業年金連合会の確定拠出年金統計資料(2020年3月末)をもとに、加入者はどのような運用をしているか、見ていきましょう。
運用商品選択状況(2020年末時点)
- 預貯金:36.1%
- 保険:15.6%
- 内株式型:10.9%
- 国内債券型:6.2%
- 外国株式型:8.3%
- 外国債券型:4.3%
- バランス型:17.6%
- MMF:0.0%
- その他:0.8%
- 処理待機資金:0.2%
預貯金と保険だけで半分を占めています。
同資料の別表では、「元本確保型(預貯金・保険)のみで運用している者の割合」は全体の34.1%とのことです。
つまり、企業型DCに加入していても、実際には積極的な運用を行っていない人もいることがわかります。
では肝心の運用成果ですが、どうなっているのでしょうか。
企業年金連合会の「確定拠出年金実体調査結果(概要)2019年度決算」によると、令和元年度の運用利回りの平均は、マイナス1.2%です。
この年度末にコロナショックが起こり、日経平均もS&Pも総じて下落しました。幸い、2020年の夏には回復しましたが、2019年度の決算にはこのショックが関係している可能性もあります。
想定外の下落は仕方のないことではありますが、大切な老後資金を増やすために行っている企業型DCがこのような状況になってしまうと、確かに心配になってしまいますよね。
それでは一体どうすればよいのでしょうか。次章で見ていきたいと思います。
運用商品の選び方、どうすればよいか
将来受け取れる年金額を増やし、ゆたかな老後を過ごすためにできること。それは企業型DCの運用状況を改善することです。
運用状況を改善するには、どんな運用商品を選ぶのか、どのような配分にするのかなど、自分で決めなければいけませんが、そもそも管理する機関によっても選べる運用商品が異なります。
何に気をつけて、どのように選べばよいのか。注意すべきポイントを3つ、お伝えします。
選ぶポイントその1:成長資産を選ぶ
経済成長が見込める先に投資している投資信託を選びましょう。
そうなると、日本株への投資はあまりお勧めできないことになります。
日本は少子高齢化で人口が減少しています。
2050年頃の人口は今よりも2000万人程度減り、1億人を割る可能性があるのに対し、世界人口は2050年時点で今より約20億人増加し、100億人を超えると予想されています。
経済成長率は人口増減率と密接に関係していますので、株式に投資するなら外国株に投資しているものをお勧めします。
選ぶポイントその2:自分の年齢に合わせた運用を行う
投資は期間によってパフォーマンスが大きく変わります。
例えば、アメリカの代表的な株価指数であるS&P500に、2020年末まで過去10年間投資した場合はプラス198%程度、過去30年間投資した場合はプラス1038%ほどのリターンです。
また、過去の実績上、投資期間が短くなればなるほど、リターンの変動幅が大きくなり、リスクが高い投資になりがちです。
20代、30代の比較的若い人であれば、投資期間も20年、30年、40年と取ることができますので、先程お伝えした外国株式に100%配分してもよいでしょう。
一方、40代、50代、または定年間近の人は株式の割合を減らしながら、比較的安定的な資産である債券等への配分を多めにしていくことをお勧めします。
企業型DCは「スイッチング」といって、運用商品を入れ替えることができます。資産状況と自分の年齢を照らし合わせながら定期的に見直すことを行ってください。
選ぶポイントその3:成績のよいアクティブファンドを見極める
投資信託は、大きく分けると、インデックスファンドとアクティブファンド、この2種類に分けることができます。
インデックスファンドは、日経平均、S&P500などの株価指数に概ね連動する動きを目指すもので、基本的には手数料が安い商品になっています。
一方、アクティブファンドは株価指数を上回る動きを目指し、手数料はインデックスファンドに比べると高めに設定されています。
皆さんが加入している企業型DCの中に、成績のよいアクティブファンドがあれば問題ありません。ぜひそれを選択することをおすすめします。
残念なことですが、日本で設定されている投資信託の中でインデックスファンドを上回っているアクティブファンドは2割程度しかありません。
ですから、選択できる投資信託のなかに、そもそも成績のよいアクティブファンドが無い可能性が高いのです。
企業型DCに加入されている人は、アクティブファンドのレポートを見て、そのファンドが指標としている株価指数をしっかり上回っているかどうかを確認することが必要です。
以上、3つのポイントをお伝えしました。
慣れない作業だと難しく感じるかもしれませんが、何回かやっているうちにコツが分かってくるはずです。
是非この3つのポイントを押さえて、自分の企業型DCを見直してみてはいかがでしょうか。
分からなければ専門家に相談を
本日は、企業型DCを賢く運用するコツについてお話させて頂きました。
皆さんの企業型DCの運用成績が少しでも改善されれば幸いです。
今回は代表的な3つのコツをお伝えしましたが、運用のコツは他にもたくさんあります。
運用に興味が湧いてきた人、詳しく知りたい人は、ぜひお金の専門家に相談することをおススメします。
参考資料
一般社団法人投資信託協会「企業型DCってなあに?」-制度の概要-
企業年金連合会「確定拠出年金統計資料」(2020年3月末)
「確定拠出年金実態調査結果(概要)2019年度決算」
マネイロ「資産運用はじめてガイド」
佐藤 雄基
