それでも終身雇用が良いと言えますか

最後に正社員の話です。“自分は正規社員だしな、助かった。やはり終身雇用が正しい"と思っている方々が主ターゲットです。

人事コンサルティングの城繁幸氏は、昨年のコラム『低失業率の「優等生」日本! なのに、なぜ世界は誰も真似しないのか?』で次のように書いています。

「我々は失業率が低い代わりに何か別のコストを負担していることになる」

城氏によれば、今回のコロナ禍に際しても日本の失業率が異様に低く抑えられているのは、労使がこうした危機に備えて普段から賃金水準を抑制してきたから。

さらに言えば、1990年代以降に定年が事実上55歳→60歳→65歳と延長させられた点も大きいと指摘。「雇用を守り続けねばならない期間が増えたのだから、もっともっと賃金を抑制しないと、と労使のマインドを冷え込ませたことは想像に難くない」としています。

城氏のマトメは以下となります。「本当に終身雇用とは、労働者(正社員※筆者注)から見て『おいしい』ものなのか。だったら、なぜ他国は日本の真似をしようとはしないのか」たしかに。なるほど感が一杯ですね。

個人的には「終身雇用&年功序列」は「給料の後払いシステム」だと考えています。それは、モノづくりで世界制覇した日本の過去の栄光の原動力でもありました。なぜ、そのような変なシステムが成立したのか。

日本の過去の栄光には“神秘の島ガラパゴス"のような秘密がいっぱい、隠されている気がします。その秘密を解いていかないと、未来はないのかもしれません。失業率データを見ながら、そんな風に思える今日この頃でした。

参考資料

榎本 洋