日本の場合、休業者数を見るべきかも
ここで、“日本の失業率の基本のキ"を見てみましょう。失業率はどのように計算されるかということです。いわゆる「完全失業率」と呼ばれるものです。総務省が毎月発表する「労働力調査」で確認できる数値ですね。
計算方法は、「完全失業者 ÷ 労働力人口 × 100」。
分子の完全失業者は、仕事を探しているものの仕事に就くことのできない人のことを指します。分母の労働力人口には休業者も含まれています。ただし、これは給料・賃金の支払を受けている者、または受けることになっている者を指します。ここに注目して、野村研究所の調査は行われています。
「日本の失業率は低くない」という“天動説"を信じ続ける自分にとって、気になるのは休業者の数なんですね。天動説の理論的根拠としては「アメリカのようにレイオフ(一時解雇)をすぐやれる国と違って、日本の完全失業者数値は低目に出るのはないか」ということです。
その休業者数の推移をみてみましょう。総務省の労働力調査では、一昨年の冬は190万人前後を推移していましたが、新型コロナの影響で昨年3月に200万人を超え、4月には過去最多の597万人に急増しています。昨年の4月といえば、第一回目の緊急事態宣言が発令された時ですね。
第一生命経済研究所のエコノミスト星野卓也氏によれば、昨年4月の失業率(失業者 ÷ 労働力人口)の分子に休業者を加えた値は、同年3月の5.3%から11.4%に急上昇。日本の失業率データは経済環境の悪化を過小評価していると同氏は分析しています。