「モスバーガー」は言わずと知れた日本発祥のハンバーガーチェーン。テリヤキバーガーやライスバーガーなど独自性のある商品で根強い人気があります。
そのモスバーガーを展開する株式会社モスフードサービス(以下、モスFS)は、2018年3月期まで3期連続で売上高700億円以上を維持していましたが、2018年8月の食中毒事件の影響で翌2019年3月期に売上高は663億円まで落ち込み、11年ぶりの赤字に陥りました。
しかしその後、マーケティングや商品企画の見直しなどで信頼と業績の回復に努めています。コロナ禍でも回復基調ですが、どのような戦略で巻き返しを図っているのでしょうか。
食の安全への信頼失墜が業績を直撃
外食産業は安全性に問題があると消費者離れに直結します。
2014年には、日本マクドナルドが中国から調達したチキンナゲットに期限切れ鶏肉が使われていたことが発覚し、経営に大きな打撃を受けました。結果、日本国内においては2014年12月期の売上高が前年度比で15%も減少しています。
モスバーガーも、食の安全への問題による業績不振を経験しています。2018年8月に長野県のモスバーガー2店舗で腸管出血性大腸菌O121による食中毒事故が発生し、同じ時期に関東・甲信地域のモスバーガー計19店舗を利用した28人が感染。
同時期に多店舗で発生したことからチェーン本部から納入した食材に問題があるとみられ、2019年3月期の減収減益につながりました。
業績回復に向け、商品開発を活発化
モスFS(8153)は、2021年3月末現在で1260店舗(うちFCが1220店舗)を有する国内モスバーガー事業、アジア中心に421店舗を展開する海外事業、その他2事業を合わせた計4事業を運営。
2021年3月期第3四半期の売上高535.9億円の内訳を見ると、国内事業は82.5%、海外事業は14.2%となっています。