2018年3月期から3年間の業績推移は以下の通りです(カッコ内は対前年比)。

  • 売上高:713.9億円⇒662.6億円(▲7.2%)⇒689.9億円(4.1%増)
  • 営業利益:37.3億円⇒5.2億円(▲86.1%)⇒10.6億(104.9%増)
  • 当期純利益:23.9億円⇒▲9.1億円⇒3.7億円

このように、2019年3月期は前述の食中毒事件の影響が大きく、大幅な減収減益となっています。

そもそも同期は年度初めから既存店売上高は芳しくなく、前年同月比92~97%台が続いていました。そして8月の食中毒発生以降、9月から翌年1月までは既存店売上高が前年比84~91%台に落ち込み、ロイヤリティ収入が大幅に減少。

営業利益は何とか黒字を維持しましたが、FC営業補償金11.3億円を計上したことで最終利益は赤字となりました。

翌2020年3月期は食中毒事件の影響が薄まったこと、および期間限定商品が功を奏して増収増益となりました。また、マーケティング本部を新設し、商品企画やプロモーション、デジタル施策を活性化。

定番の「テリヤキチキンバーガー」のリニューアルに加え、期間限定の「激辛テリヤキチキンバーガー」がSNSで話題となりました。また、糸井重里が主宰する「ほぼ日」や絵本作家ヒグチユウコとのコラボなど、新たな客層を取り込む施策も実施しています。

さらに、「海老天七味マヨ」「サワーチキン南蛮」や、若年層向けの「ジャンボメンチカツ」など「モスジャパンプライド」シリーズの展開に加え、各地域で地元の食材や名産品を使用した商品を販売するなど、消費者ニーズの多様化に応える取り組みを中心に立て直しを図りました。

コロナ禍の2021年3期第3四半期の成績は売上高535.9億円(前年同期比2.9%増)、営業利益9.8億円(同▲14.6%)、最終利益2.3億円(同▲63.5%)の増収減益です。

国内事業では都心部に集中する直営店が不調になったものの、多数を占める郊外のFC店ではドライブスルーの利用者が増え、増収となりました。海外事業においては、店舗数最多の台湾におけるコロナ収束により0.6%の微減にとどまっています。

利益面では直営店売上比率低下による原価率の上昇、減損損失が大きな減益要因となりました。