2021年4月1日、「改正高年齢者雇用安定法」が施行されました。今後、働く側が望む場合、70歳までの就業機会を確保することが企業の努力義務となります。
「老後」と呼ばれる時期を将棋の対局に例えるならば、70代は「ほんの序盤」といったところでしょうか。
とはいえ、健康面のおとろえを自覚しはじめたり、就労による収入がなくなるなど、若い頃とは異なる心配ごとが増える人が多い時期であることは確かでしょう。
年金収入、そして貯蓄は、そんなセカンドライフを支えるたいせつな原資です。
昭和の終わりから平成初頭にかけてバブル期に働き盛りの時期を迎えた方も多い日本のシニア世代。
貯蓄や年金、退職金事情などの面で、イマドキの若者よりも恵まれているのでは?というイメージを持たれることが多いかもしれませんね。
今回は、70代のみなさんの年金と貯蓄についてながめたあと、老後の備えについて考えていきます。
いまどき70代の年金事情
70代以上の生活を支える柱となるのは、多くの場合、まずは公的年金といってよいでしょう。
いまどきの70代のみなさんの年金受給額はどのくらいなのでしょうか。
「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(2019年度)」から、国民年金・厚生年金の平均年金月額を抜粋します。
国民年金の平均年金月額
( )内は受給権者数
70~74歳:5万6697円(837万559人)
75~79歳:5万5922円(676万8205人)
厚生年金保険(第1号)の平均年金月額
( )内は受給権者数
70~74歳:14万6421円(389万2271人)
75~79歳:15万1963円(303万1605人)
70代の平均年金月額は、国民年金であれば5万円台、厚生年金であれば14万~15万円ほどのようです。
まずは国民年金・厚生年金どちらに加入しているかで大きな差がみられますね。
また、今回詳しくは触れませんが、年金加入期間、そして厚生年金であれば現役時代の収入も老後の受給額に反映されます。
先述の平均年金月額をもとに計算すると、会社員の夫と専業主婦の妻の70代前半世帯であれば、平均的な月額の年金額は約20万3000円になります。
総務省の「家計調査報告(家計収支編)―2020年(令和2年)平均―(二人以上の世帯)」によると、70~74歳の消費支出は24万6656円。
公的年金収入のみで生活することを考えた場合、この世帯では毎月約4万3000円の赤字になります。