2021年4月13日に行われた、株式会社マネーフォワード2021年11月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社マネーフォワード 代表取締役社長 CEO 辻庸介 氏
2021年11月期第1四半期決算説明会
辻庸介氏:マネーフォワードの辻でございます。本日はお忙しいところ、第1四半期の決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。
さっそくですが、私から内容をご説明させていただければと思います。はじめに事業内容、次に第1四半期の業績を「Money Forward Business」「Money Forward Home」「Money Forward X」「Money Forward Finance」のドメインごとにご説明します。そして、最後に成長戦略をお話しします。
当社のMission / Vision / Value / Culture
事業内容についてです。当社のMission、Vision、Value、Cultureに変更はありません。「お金を前へ。人生をもっと前へ。」ということで、すべての人のお金のプラットフォームになるべくビジネスを展開しています。
SaaS×Fintech領域で、国内最大級のユーザー基盤とプロダクトラインナップを提供
当社は複数の事業領域を持っていますが、「SaaS×Fintech」という領域で国内最大級のユーザー規模とプロダクトラインナップを提供しており、ユーザーは法人、個人、金融機関です。
事業領域ですが、法人向けはMoney Forward Businessドメインのバックオフィス向けSaaS、SaaSマーケティング支援、そしてMoney Forward Financeドメインのファイナンスサービスです。
個人向けのMoney Forward Homeドメインでは、PFMサービスを提供しています。また金融機関向けのMoney Forward Xドメインでは、Fintech推進・DX支援を事業領域としています。
バックオフィス向けSaaSに関しては15万以上の課金ユーザーがおり、約半数が法人となっています。詳細は後ほどご説明します。
我々はSaaSというプラットフォームからいかにFintechサービスを提供して、いかにユーザーの生活や企業活動をよくしていくかということを中心に考えています。直近、JPモルガン証券さまとクレディ・スイス証券さまのアナリストレポートでカバレッジを開始いただきましたが、レポートの中でも「SaaS×Fintech」という切り口で取り上げていただいております。
新規事業開発とM&A(グループジョイン)により、事業領域を拡大
我々の事業領域の拡大についてのグラフをお見せします。まず、創業当初、2012年12月に「マネーフォワード ME」をリリースしました。その後、2013年11月に「マネーフォワード クラウド」をリリースして、バックオフィス向けのSaaS事業に参入しています。
2015年11月には、Fintech推進・DX支援ということで、Money Forward Xの事業を開始しました。2017年6月には、新規事業開発としてファイナンスサービスを開始しました。また、2019年11月にはSaaSマーケティング支援の分野で、我々は「グループジョイン」と呼んでいますが、M&Aによってスマートキャンプ社がジョインしてくれたことで、新規事業の領域が拡大しています。
当社事業の売上構成
当社事業の売上構成です。法人向けの売上が全体の74パーセントを占めています。その内訳は、バックオフィス向けSaaSの売上が55.7パーセント、スマートキャンプ社の売上であるSaaSマーケティング支援が12.4パーセント、Money Forward Financeの「マネーフォワード ケッサイ」「マネーフォワード アーリーペイメント」等の売上が5.5パーセントとなっています。
また、創業時から提供している個人向けのMoney Forward Homeのサービスの売上が16.2パーセントで、Money Forward Xの売上が10.3パーセントという構成になっています。
当社を取り巻く環境と事業機会
当社を取り巻く環境と事業機会に関しては、ご覧のスライドのとおりフォローの風が吹いていると思っています。電子帳簿保存法の改正やインボイス制度の導入、またコロナ禍におけるリモートワークの増加、政府によるデジタル化推進、オープンAPIの広がり、資金決済法の見直し、また昨今議論されている給与支払いのデジタル化など、当社のサービスの提供価値を高めることができる事業機会が豊富にあると考えています。
共通コアテクノロジーをベースに、様々なプロダクトを開発
我々は複数のドメインでサービスを提供していますが、基本的にコアテクノロジーは共通です。スライドの下部がコアテクノロジーで、一番下にアカウントアグリゲーション基盤があり、2,600以上のサービスと連携しています。
その上に共通IDや認証基盤、データセキュリティ基盤、データ分析基盤があり、このコアテクノロジーを中心に、さらにその上でSaaSプロダクトである「マネーフォワード クラウド」、個人向けの「マネーフォワード ME」、金融機関向けの「マネーフォワードFintechプラットフォーム」を提供しています。
さらに、このコアテクノロジーを中心として非常に効率的に開発が進んでおり、コスト効率もよいという世界ができています。
サステナブルな社会を目指し、ESGの取り組みを強化
昨今、非常に重要な論点であり、我々の取締役会でも非常に議論が盛んですが、サステナブルな社会を目指してESGの取り組みを強化しています。マネーフォワードとしては、3つの重点項目を設定しました。
「User Forward(ユーザーの人生をもっと前へ。)」「Society Forward(社会をもっと前へ。)」「Talent Forward(社員の可能性をもっと前へ。)」というかたちで取り組んでいます。この取り組みを通して達成を目指すSDGsの目標は、スライドに記載している「4、5、8、9、10、12、15、17」です。
最近ホームページをリニューアルして、ESGの取り組みについてより具体的に記載していますので、よろしければご覧ください。
User Forward|ユーザーの人生をもっと前へ。①
取り組みについて、1つずつ簡単にご紹介します。「User Forward(ユーザーの人生をもっと前へ。)」に関してですが、「マネーフォワード クラウド」サービスを通じて、会計事務所および顧問先の生産性向上や課題解決に貢献したいと考えてビジネスを展開しています。
我々が大変お世話になっている税理士法人CROSSROADの代表である三嶋さまにコメントをいただきました。導入前はデータのやりとりが面倒だったり、入力に時間がかかっていたところが、「マネーフォワード クラウド会計」の導入が進み、顧問先が2年で約3倍に増えて生産性も上がったとのことです。
またコロナ禍でも「マネーフォワード クラウド」を導入していたお客さまは、問題なく月次決算を締めることができ、非常に喜んでいただきました。
User Forward|ユーザーの人生をもっと前へ。②
もう1つ、個人向けの「マネーフォワード ME」についてですが、こちらはサービスを通して個人の行動の変化や収支改善を実現しています。
スライドの左がお金に対する行動や意識の変化で、無駄遣いが減ったり、固定費の見直しを行ったというユーザーが多くいます。
また、実際に収支改善を実感した金額が月あたりで平均2万7,848円、年換算で約33万円ということです。まさに「レコーディングダイエット」と同じく、レコードすることによってお金の使い方が改善される事例だと思っています。
Society Forward|社会をもっと前へ。
「Society Forward(社会をもっと前へ。)」についてです。全国の志を同じくするみなさまですが、会計事務所、社労士事務所の公認メンバー数は1万6,000超となっています。
また、提携商工会議所数は107、サービス提供金融機関数は39、スクレイピング・API接続済みの金融機関は1,109となっており、全国のパートナーのみなさまと一緒に、社会をもっと前へ進めていく取り組みを行っています。
Talent Forward|社員の可能性をもっと前へ。
「Talent Forward(社員の可能性をもっと前へ。)」についてです。これを促進していく上で非常に大事なことですが、ダイバーシティを促進する環境作りや多様な成長機会を創出することに注力しています。
例えば、海外のエンジニアが非常に多くジョインしてくれているのですが、そのような方々に向けて、日本語1on1「TERAKOYA」を実施しています。
さらに、リーダー育成プログラム「Leadership Forward Program」を開催して、次世代リーダーの育成を進めています。以上が、事業内容・会社概要のご説明となります。
2021年11月期 第1四半期 ハイライト
第1四半期の業績のご説明に入ります。まずは全体のハイライトですが、連結売上高は前年同期比プラス45パーセントの34.7億円で、特にMoney Forward Businessドメインの売上高が前年同期比プラス51パーセントと高成長を牽引しています。業績見通しは順調に進捗しています。
また、売上総利益も前年同期比プラス53パーセントの25.4億円で、EBITDAが3.6億円、営業利益が0.8億円の黒字です。グループストック収益の合計を示すSaaS ARRも、前年同期比プラス35パーセントの90.2億円で、すべてのドメインのARR成長が加速しています。
そして、グループ全社(個人、個人事業主、法人)の課金顧客数は46.4万を突破しています。
1Q連結売上高は前年同期比+45%と高成長を継続
四半期ごとのグラフです。先ほどお伝えしたとおり、全体では前年同期比で45パーセント伸びています。Money Forward Businessドメインがプラス51パーセント、Money Forward Homeドメインがプラス24パーセント、Money Forward Xドメインがプラス52パーセント、Money Forward Financeドメインがプラス29パーセントと、各ドメインで高成長を実現しています。
全てのドメインのARR成長が前四半期から加速
第1四半期と前第4四半期とのARRの比較です。特に大きく伸びているのが「Business 個人事業主」で、前第3四半期から前第4四半期は3パーセント増加ですが、前第4四半期から今四半期は9パーセント増加です。こちらの理由はのちほどお伝えします。
また「Business 法人」は前第3四半期から前第4四半期の10パーセント増加だったのが、前第4四半期から今四半期は11パーセント増加ということで、伸びが加速しています。
売上総利益 / EBITDA(四半期推移)
売上総利益は過去最高で、売上総利益率も73パーセントまで改善しています。また、広告宣伝費除きのEBITDAは約9.1億円、EBITDAは約3.6億円で過去最高の水準です。
今四半期については黒字になりましたが、引き続き、売上成長を目指すために必要なコスト投下をしっかり進めていきたいと思っており、期初公表計画のレンジ内(営業利益がマイナス12億からマイナス8億円、EBITDAが1億円から5億円)でしっかり着地したいと思っています。
正社員数の推移
正社員数は930名です。Money Forward Businessドメインでの採用が着実に進捗しており、4月には約30名の新卒社員が入社してくれました。
採用が非常にうまく進んでおり、すばらしい方々にジョインいただいています。リモート下ではありますが、きっちりとオンボーディングを行い、よいアウトプットを出してもらえるような環境を整えていきたいと思っています。
費用内訳(売上原価・販売費及び一般管理費)
費用の内訳ですが、コストが下がっています。第4四半期はCM等の大型マーケティングを行ったため広告宣伝費が14億2,900万円でしたが、今四半期は5億5,200万円と、大きく減っているところが理由です。
バランスシートの状況
バランスシートは引き続き堅調で、現預金は約76億円、純資産は100億円以上となっています。以上が、全体のご説明です。
21/11期 第1四半期ハイライト
Money Forward Businessドメインについてご説明します。売上高は前年同期比プラス51パーセントで、法人向け売上が高成長を牽引しています。また、グループジョインしたスマートキャンプ社のPMIが非常に順調に進んでおり、前年同期比プラス70パーセントと高い成長を実現しています。
課金顧客数は、法人、個人事業主のいずれも順調に増加して、15.4万に到達しています。特に、PFMユーザーの送客やアプリのリニューアル効果によって非常によい結果が出ており、個人事業主ユーザーの獲得ペースが加速したところが、この四半期の新しいトピックです。
法人のARPAは、前四半期比プラス4.4パーセントの80,587円です。単価が高い中堅向けサービス「マネーフォワード クラウド会計Plus」の導入が加速しているところが大きな要因です。
次に、解約率についてです。課金顧客数ベースの解約率は1.0パーセントということで、前年同期より改善しています。プロダクトがかなり進化していると思っています。
また「マネーフォワード クラウド契約」の提供を開始予定で、ERPとしてさらに進化していきます。
四半期 売上高推移①
四半期ごとの売上高成長ですが、ご覧のとおり、ストック売上(法人)の部分がプラス40パーセントで、強い伸びを示しています。
課金顧客数とARPAの成長が継続
課金顧客数とARPAの成長についてです。スライドの左側ですが、課金顧客数が15万4,261で、全体で前四半期比プラス8.5パーセントとなっています。5.2パーセントの伸びだった前四半期と比べても、非常によい数字になっています。
特に個人事業主の伸びですが、前四半期は4.0パーセントの伸びだったものが11.0パーセントの伸びと、強くなっています。
法人は前四半期がプラス6.4パーセントで、今期がプラス5.9パーセントとなっています。これは、確定申告シーズンだったため、我々がパートナーシップを強くさせていただいている会計事務所も大変忙しく、シーズナリティの問題で法人の伸びが前四半期にくらべて若干ゆるやかになっています。
スライド右側のARPAについてですが、一番上が法人のARPAで、前四半期比プラス4.4パーセントの8万円超えとなっています。全体ではプラス1.7パーセントで、個人事業主はマイナス1.5パーセントとなっています。
過去にもご説明していますが、月額契約から年額契約への移行が継続的に進んでおり、年間契約になるとプライシングが安くなるため、若干マイナスになっています。
全国の会計事務所とのパートナーシップが更に拡大
全国の会計事務所とのパートナーシップがさらに拡大しています。国内トップ100の会計事務所のうち、66パーセントが当社の「マネーフォワード クラウド会計」を導入しており、クラウド会計業界の中でも非常に高い導入率だと思います。
社労士事務所とのパートナーシップをより強化
社労士事務所とのパートナーシップについても、より強化させていただくということで、KiteRa社との業務提携を進めています。
様々なステージの企業にも対応可能なラインナップ
プロダクトラインナップを整理したスライドですが、個人事業主から中小企業、中堅企業・IPO準備企業、上場企業と、プロダクトラインナップがかなり拡充・充実してきています。
スライドの一番上の行が、会計で「クラウド確定申告」「クラウド会計」「クラウド会計Plus」です。中段が、あらゆる企業規模に対応している「クラウド請求書」「クラウド経費」「クラウドマイナンバー」「クラウド給与」「クラウド社会保険」「クラウド勤怠」「クラウド契約」です。
また、グループジョインしてくれた2社によるものですが、主に士業事務所向けのサービスが「STREAMED」と「Manageboard」です。
そして、主に中堅企業向けが「クラウド人事管理」「クラウド債務支払」「クラウド固定資産」「クラウド債権請求」「V-ONEクラウド」です。
国内でも有数のプロダクトラインナップではないかと思っていますが、開発力を強化しており、さまざまなプロダクトを順調に開発できていると思っています。
中堅企業・IPO準備企業/上場企業向けプロダクトが充実
中堅企業、IPO準備企業、上場企業向けのプロダクトを抽出したスライドです。先ほどお伝えしたとおり、新たに法務領域において「マネーフォワード クラウド契約」を提供します。
経理財務、人事労務、法務領域において、ERPとしてシームレスなデータ連携を実現することによって、ユーザーの生産性を格段に向上させることが我々の目的です。
契約関連業務のDX化を加速
契約関連業務のDXについて、図を用いてご説明します。会社の業務的にはまずワークフローがあり、ワークフローで承認されると電子契約になり、電子契約が流れたものがオペレーション、そして経理・労務、契約書保存へと続いていきます。
こちらの流れをすべてAPIでつなぐことによって、一気通貫で行えるようにして、企業の生産性を劇的に向上していくことを目指しています。
「クラウド契約」で契約書を巻くと契約内容が決まり、請求が決まって「クラウド債権請求」から「クラウド会計Plus」、そして契約書保存の「クラウドBox」へと流れていきます。
販売契約等は「クラウド債務支払」、売買・賃貸借契約等は「クラウド固定資産」、雇用契約は「クラウド人事管理」から「クラウド給与」、そして「クラウド会計Plus」というかたちで、一連のサービスの連携が強くなっています。
複数のプロダクトをお使いいただくことによって、生産性を劇的に向上できるのではないかと思っています。
高成長が期待されるLegalTech市場
LegalTechに関しては、みなさまもご存知のとおり電子契約サービスの市場が非常に伸びており、CAGRも37.8パーセントと伸びています。
我々のプロダクトもかなりユニークなポイントを持っているのですが、セールスやマーケティングにおいても、既存のお客さまである経理財務や人事労務の方へのクロスセルをはじめ、しっかりとシェアを拡大していきたいと思っています。
成長企業への導入実績(1/2)
「マネーフォワード クラウド会計Plus」の導入加速の例です。導入企業の一部をご覧いただいていますが、AI insideさまやカラダノートさま、日本ホスピスホールディングスさまなど、上場企業や有望なベンチャー企業にも導入いただいています。
成長企業の導入事例(2/2)
「クラウド給与」「クラウド勤怠」「クラウド経費精算」「クラウド社会保険」等についても、さまざまな企業に導入いただいています。東証1部・2部上場企業では、イオンさま、ライクさま、JAFCOさま、マザーズ上場企業では、ウォンテッドリーさま、チャットワークさま、ユーザベースさまなど、すばらしい企業に使っていただいています。
個人事業主ユーザーの獲得が好調
先ほどご説明した「個人事業主のユーザー獲得が好調」という件については、2つの要因があります。1つは、スマホアプリに電子申告機能を搭載して、国内で初めて1つのアプリで仕訳から申告書の作成・電子申告まで可能になったことです。
もう1つは「マネーフォワード ME」からの送客です。「マネーフォワード ME」をご利用の方は、仕訳で「この取引は確定申告」と印を付けるだけで確定申告の準備が簡単に終わるというサービスを提供できたからです。
『BOXIL SaaS AWARD』を開催
スマートキャンプ社の「BOXIL SaaS AWARD」を開催しています。「SaaS AWARD」ということで、AWARDの発表を通じてSaaSを広く普及させて、企業のDX加速化をサポートしていくために、毎年実施しています。
スマートキャンプ、新会社「ADXL(アドシル)」を設立
スマートキャンプ社は非常に順調に成長していますが、今回、新会社「ADXL(アドシル)」という会社を設立しました。
SaaS業界では、マーケティング手法などが多様化していたり、またマーケターが不足しています。そこで、SaaSに特化したデジタルエージェンシーを作り、「マーケティングサービスと広告代理サービスとテクノロジーサービス」を掛け合わせた会社にしていきたいと思っています。
以上が、Money Forward Businessドメインのご説明です。
プレミアム課金収入 売上高推移
Money Forward Homeドメインについてご説明します。引き続き順調に成長しており、売上高は前年同期比プラス25パーセントで、課金ユーザーも30万人を突破しています。
メディア / 広告収入 売上高推移
メディアも前年同期比で23パーセントの成長で、広告収入がしっかり発生しています。また「マネーフォワード お金の相談」をはじめ、種々の新規サービスを広げているのですが、それらが徐々に増収に貢献してきています。
『マネーフォワード ME』利用者が1,200万人に
「マネーフォワード ME」の知名度が非常に上がってきており、利用者が1,200万人ということで、新規利用者数の増加が加速しています。
FPへの「家計簿連携機能」の提供を開始
FP(フィナンシャルプランナー)との連携も加速しています。FPの方は、いちいちユーザーに詳細を聞くのが手間で時間を取られてしまうわけですが、すでにユーザーが入力している家計簿データを共有することで、FPの方がすぐにお金の悩みやライフプランの提案ができる環境を構築しました。
「固定費の見直し」のラインナップを強化
「お金の見える化」から、実際の「お金の改善に向けたアクション」までですが、我々は「見える化」「気づきの提供」「学びの提供」「改善に向けたアクション」というかたちで進めています。
「マネーフォワード 固定費の見直し」というサービスでは、電気料金の見直しと生命保険の見直しということで、ライフネット生命と提携して、家計の大きな部分を占める生命保険の見直しサービスの提供を予定しています。
以上が、Money Forward Homeドメインのご説明です。
四半期 売上高推移②
Money Forward Xドメインについてご説明します。売上高は前年同期比プラス52パーセントで、順調に成長しています。
AWSと連携し、金融機関向け『マネーフォワードFintechプラットフォーム』を提供開始
AWSさまと提携して、金融機関向け「マネーフォワードFintechプラットフォーム」の提供を開始しました。こちらは、アカウントアグリゲーション基盤に加えてデータ分析基盤も追加して、AWSのクラウドサービスやAIの分析基盤などと連携しながら、スライド上部に記載のデータ分析基盤に乗るアプリケーションを、金融機関向けにどんどん提供したいと思っています。
第一弾として横浜銀行に導入
実際に、横浜銀行さまへの導入がすでに決まっています。ご覧のスライドのように、金融機関のお客さま向けサービスの拡充やDXを支援していきます。
福岡銀行に、複数の口座データを連携できる機能を提供
また、福岡銀行さまのオンラインレンディングサービス「フィンディ」に対して、我々のアカウントアグリゲーションのサービスを提供するという連携機能をスタートしています。
金融機関等との連携(個人向けサービス)①
金融機関等との連携でどういったサービスがあるかについてご説明します。「金融機関・特定サービス向けマネーフォワード」ですが、新たにアフラック生命保険への提供を開始しています。
また、「もう紙はいらない。デジタルにしたい」というニーズに応えるため「デジタル通帳」を提供しています。そして「資産管理Unit」「家計簿Unit」は、スライドに「New」と記載している証券会社や銀行への導入が決まっています。
金融機関等との連携(個人向けサービス)②
金融機関以外にも、ドコモさまや野村證券さまなど、スライドに記載している企業のお客さまに向けてサービスを提供しています。
金融機関等との連携(法人向けサービス)
法人向けのサービスについてです。「法人ポータル」は、NTT DATAさまと共同で開発しているもので、横浜銀行さま、北陸銀行さま、西日本シティ銀行さまに導入いただいています。
「BFM(Business Financial Management)」ツールは、法人向け金融機関に対するサービスで、岡崎信用金庫さまに導入いただきました。
Money Forward Xのプロダクトラインナップがかなり広がってきており、AWSさまとの提携を発表した後、かなり問い合わせをいただいています。金融機関等のDXを通じて、その先の顧問先に対するサービス提供を拡大していきたいと思っています。
四半期 売上高推移③
Money Forward Financeについてご説明します。売上高は29パーセント成長で、与信管理の強化を継続しています。先日の適時開示の件(貸倒)についてはご心配をおかけしましたが、全体的に見ると想定内の貸倒比率でコントロールしていますので、引き続きしっかり与信管理しながら売上を伸ばしていきたいと思っています。
新サービス『Chatwork 早期入金』の提供を開始
国内最大級のビジネスチャット顧客基盤をお持ちのチャットワークさまと、「Chatwork 早期入金」ということで協業を開始しました。我々が裏方に回るかたちでサービス提供を開始しています。
以上が、Money Forward Financeドメインのご説明です。
グループ全体の成長戦略
最後に、成長戦略です。従来からお伝えしているとおり、Money Forward Businessドメインの戦略的な投資が、一番大きな投資になります。
全国の支社を通じて、会計事務所のカスタマーサクセスを強化、中堅企業向けに積極的なセールス&マーケティング投資の継続、電子申告機能を搭載した申告アプリのプロモーション、PFMサービスとの連携強化を行っていきます。
また、複数事業の運営によるシナジーは非常に大きいと考えています。TAM(Total Addressable Market)の継続的な拡大であったり、ユーザーへの提供価値の拡大やブランド認知向上、そして何より、いろいろな事業が立ち上がることで多様性を持った優秀な人材が採用できているのではないかと思っています。
次に、テクノロジーへの投資についてですが、本当に重要だと思っており、Money Forward Labなども作っています。我々の競争優位性の1つはプロダクト開発力やデザイン力だと思っていますので、そこにしっかり投資していきます。
そして、継続的なM&Aも行っていきます。上場後、4社のPMIに成功しており、大きな力になっています。プロダクトラインナップの強化に加えて、グループジョインした企業の経営陣がグループ全体の経営にも従事してくれており、経営力を強化しているところが大きなポイントです。
複数ドメインの運営によるシナジー創出
複数ドメインの運営によるシナジー創出に関してです。先ほどお伝えしましたが、PFMユーザーと「マネーフォワード クラウド確定申告」のクロスセルが大きく加速しており、ご覧のスライドのとおり、いろいろなポイントでクロスセルを加速していきたいと思っています。
テクノロジーへの投資による競争優位性の確保
テクノロジーへの投資に関してです。現状、自動化やセキュリティに関するテクノロジーを持っていますが、将来的には「自律化・ユーザビリティ」をテーマに加えて、機械学習やAI、深層学習、自然言語処理、UI/UXといったテクノロジーを注力領域としてR&Dを推進しています。
M&A(グループジョイン)/出資戦略および実績
連続的な成長もしながら、非連続な成長もしていきたいということで、戦略的なM&A・出資を継続的に実行していきたいと思っています。
過去に実行したものをスライドに整理しました。「既存事業の成長加速」ということで、SaaSのプロダクトラインナップの拡充の部分では、クラビス、ナレッジラボ、アール・アンド・エー・シーという会社がグループジョインしてくれました。
顧客基盤の拡大の部分では、「ネットde会計」や「Crew」のユーザーに、「マネーフォワード クラウド会計」のユーザーになっていただきました。
次に「事業領域/エコシステムの拡大」ですが、成長市場への事業領域を拡大していこうということで、国内ではSaaSマーケティングのNo.1であるスマートキャンプがグループジョインしており、また、インドネシアでNo.1のクラウド会計・HRの会社であるMekariにも出資を行っています。
そして、「SaaS×Fintech領域」ということで、チャットワークさまやBASEさま、CAMPFIREさまといったすばらしい会社とも資本業務提携をさせていただきながら、エコシステムを拡大していきたいと思っています。
成長投資並びに黒字化の方針
成長投資ならびに黒字化の方針ですが、こちらもほぼ変わっていません。基本的には、非常に解約率が低いモデルのため、中長期的なキャッシュフローの最大化を重視していきます。また成長投資については、もちろんしっかり行っていくのですが、一方で経営指標の健全性をしっかり見ながら実行していきます。
M&Aに関しても、戦略として合理的であり、また財務的にも問題がない案件を厳選して取り組みます。現在、非常に多くの案件のお話をいただいていますが、しっかり厳選して取り組みたいと思っています。またMekariに関しては、先ほどお伝えしたようなパートナーシップを目指しています。
こうした成長投資方針を掲げ、収益基盤、キャッシュフローの創出力を強化しながら、今期は全体としてEBITDA黒字化を達成します。また、早期の東証一部・プライム市場上場を目指して、さらなる企業価値向上を図りたいと思っています。
事業領域及びサービス拡充によりTAMは継続的に拡大
最後に、我々のTAM(Total Addressable Market)についてお話しします。今回、中堅企業向けのソリューションが拡充したこと、LegalTechへの参入ということで、Money Forward BusinessドメインのTAMが2.4兆円に拡大しています。
よって、我々が事業展開しているマーケットのTAMは合計で4.1兆円だと考えており、まだまだ大きな可能性のあるマーケットでビジネスを展開しています。しっかりとユーザーにフォーカスして、ユーザーに喜んでもらえるプロダクトを作って届けることを地道に進めながら成長していきたいと考えています。
私からのご説明は以上となります。ご清聴、ありがとうございました。