日本が主役になれる! CO2を有効活用する”親炭素”技術

二酸化炭素が原料になる

経済産業省は2020年12月25日、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の中で、14の重点分野で脱炭素を推し進めると発表しました。ここで示されているように、脱炭素に向けてやるべきことは数多くあります。

今、「脱炭素」や「低炭素」が叫ばれ、二酸化炭素(CO2)は悪玉のようになっています。その一方、CO2の有効変換・利用を考える意味から、「新炭素」という言葉も生まれています。筆者はこれを、”CO2と親しくする”という意味から「親炭素」と表現したいところです。

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前回は『CO2排出削減の救世主的技術、二酸化炭素そのものを回収する方法』と題して、すでに大気中に排出されてしまったCO2、あるいは、これからもまだ排出されるであろうCO2そのものをどのように回収するのか、その最先端技術を紹介しました。本記事では、経済産業省の14重点分野の一つ、「カーボンリサイクル」に関係して、CO2の有効変換・利用の革新的新技術について解説します。

二酸化炭素を石やコンクリートに変える

CO2を地下に埋め込み、石に変えるプロジェクトが進められています。これは前回記事の「地球化学的循環」で述べた自然界の摂理の人工版(人工岩石化)と考えてもいいでしょう。

スイスの環境スタートアップ企業・クライムワークス社は、アイスランドでこのプロジェクトを展開しています。この施設では、まず周囲の空気を吸引し、粒状の特殊吸収剤フィルターでCO2を吸着させ、CO2を含まない空気を大気中に戻します。フィルターがCO2で飽和状態になれば、近くの地熱発電所からの廃熱を使用して100度に加熱しCO2を放出させ、回収します。

次に、地熱発電所から施設に流れてくる水を利用して、回収したCO2を地表から約2000mの地下に送ります。このCO2が自然の鉱化作用によって、数年かけて炭酸カルシウム(石)に変換されます。したがって、CO2は永久に地下に貯蔵されることになります。

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執筆者

徳島大学名誉教授、元副学長(教育担当)・理事。元4大学で非常勤講師。元学童保育支援補助員。現在、東京理科大学非常勤講師、たまプラーザがん哲学外来カフェ代表。青山学院大学理工学部化学科卒業、同修士課程修了。東洋醸造(現、旭化成)研究員、東京大学研究生、東京工業大学助手(理学博士)、米国パデュー大学とカリフォルニア工科大学博士研究員を経て、広島大学助手、講師。徳島大学助教授、教授、総合科学部長、2012年3月定年退職。専門は化学(有機合成化学)。教育、生と死、超高齢多死社会、文明の危機に関する拙文執筆と講演。著書に『定命 父の喪・母の喪―息子が遺してくれた生き直す力―』文芸社。横浜市在住。