一方、アイスランドのCRI(Carbon Recycling International)社は、世界初となるCO2からメタノールを生産するプラントを2012年から稼働させています。

同企業が運転しているプラントは、地熱発電由来の電力で水を電気分解した水素と、地熱発電の随伴ガスであるCO2からメタノールを製造し、「Vulcanol」(火山volcanoとアルコールalcoholからの複合名詞)という商品名で売り出しています。

さらに、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、有機合成化学の技術を駆使し、CO2を出発原料として再生エネルギー由来による水素を用いて、内燃機関向け液体合成燃料を一貫製造する技術の確立に取り組むことを2021年2月22日に発表しました。

このプロセスで製造した液体合成燃料は、将来的に自動車や航空機に供給し、これにより温室効果ガスの大幅削減を目指す計画です。

日本は”親炭素”の主役になれる!

前回と今回の記事で、CO2そのものを直接削減するための回収・貯留・利用技術について紹介しました。知的財産分析をしているアスタミューゼ株式会社によると、我が国の2018年のCO2削減の国外特許申請件数は約1万5000件、2位アメリカの1.7倍と数が多く、日本が親炭素社会を牽引する主役になれると期待できます。

人類は快適な営みを求めて、農業革命、産業革命、情報革命を成し遂げてきました。しかし、この間に増え続けてきたCO2を今度は一転して減らすことが求められ、まさに世界的なエネルギー革命が起ころうとしています。

化石燃料社会からの脱却が求められていますが、そのためには革新的技術開発が不可欠です。そこに人材と資金を投入すべきでしょう。

参考資料

和田 眞