営業時間の短縮や人々の外食自粛が長期化し、コロナ禍からの回復のメドが立たない飲食業界。回転寿司チェーンは比較的ダメージが少ない業態ですが、チェーンごとの明暗はしだいにはっきりしてきました。

なんといっても好調なのはスシロー。2回目の緊急事態宣言が出された1月以降も、全店売上高は前年を下回ることなく推移しています。

スシローを展開するスシローグローバルホールディングス改め、FOOD & LIFE COMPANIES(4月1日付で社名変更)の業績も、2020年9月期は過去最高の売上高で増収を記録し、直近の2021年9月期 第1四半期(2020年10〜12月)は利益面でも増益となりました。

積極的な出店に加え、4月には吉野家ホールディングス(9861)の傘下にあった「京樽」を子会社化するなど、拡大路線を継続中です。その自信の背後には、どのような戦略があるのでしょうか。

寿司チェーン業界でトップの存在感

上場企業が経営する寿司チェーンといえば、スシロー、くら寿司、かっぱ寿司(カッパ・クリエイト)が主要3社と言えるでしょう。

コロナ下での売上げ動向を比べてみると、くら寿司は『鬼滅の刃』コラボや「Go To イート」の追い風で昨年10・11月は絶好調だったものの、“第3波”の頃から勢いがなくなり、今年に入ってからは全店売上高が前年比9割ほどに。かっぱ寿司も年明けから低調となり、2月は前年の8.5割程度となっています。

一方、スシローは、“第3波”の影響で客数を落としながらも客単価の2桁増で補い、売上高を前年水準でキープしています。これは、すでにコロナに翻弄されずに事業展開を進めるための術を獲得したことを意味するのかもしれません。

では、そんなスシローを運営するFOOD & LIFE COMPANIES(3563)の事業内容と、近年の業績の推移を確認してみましょう。

コロナ禍に遭っても攻めの経営スタンスを堅持

FOOD & LIFE COMPANIESは、直営方式により回転寿司チェーンを展開する、業界トップの企業です。

店舗は国内586店舗、海外38店舗の計624店舗 (2020年9月期末時点)。国内店舗数はくら寿司の521店舗(2020年10月末時点)の1.2倍ですが売上高は1.5倍と、1店舗当たりの規模・売上高が大きいことが分かります。

また、近年の業績も好調です。2018年9月期から2020年9月期まで、3年間の推移を確認してみましょう。

売上高は、1748.8億円⇒1990.9億円(前年比13.8%増)⇒2049.6億円(2.9%増)と伸び続けており、利益面では営業利益が117.2億円⇒145.5億円(24.1%増)⇒120.6億円(▲17.1%)、当期利益は79.9億円⇒99.6億円(24.6%増)⇒64.6億円(▲35.2%)と推移しています。

店舗数の拡大が増収につながっており、各期末時点での店舗数は国内外合わせて525店舗⇒566店舗⇒624店舗。コロナ下の2020年度後半も出店の手を緩めることはありませんでした。良質の食材にこだわり「寿司ネタで選ぶならスシロー」とユーザーから高く評価されているスシロー、新店の集客はうまくいっているようです。

そしてコロナ禍に見舞われた2020年9月期は、通期では減益となったものの、過去最高売上を記録して増収を維持しました。

コロナ禍による来店客の減少に対しては、デリバリー対応を急ピッチで行い、2020年9月末までの1年間にデリバリー対応店舗を124店舗増の199店舗に拡大しています。テイクアウトへの対応では、省人化のために導入を始めていた「土産ロッカー」が、非接触での商品渡しに活躍することになりました。

さらにJR芦屋駅構内にテイクアウト専門店を期間限定で開設し、需要掘り起こしに手応えを得たようです。

その好調さは直近の2021年9月期 第1四半期も継続し、売上高595.3億円(前年同期比6.8%増)、営業利益70.1億円(44.9%増)、四半期利益41.0億円(35.2%増)の増収増益となりました。国内に17店舗、海外に3店舗をオープンするなど、出店の勢いも持続しています。

こうした右肩上がりの業績に呼応して、昨年から株価は目覚ましい伸びを示しています。

投資家の期待の高さを反映し、株価はうなぎ上り

株価は、2018年半ばから2019年10月まで1500〜1800円のレンジで上下していましたが、2019年9月期決算後に上がり始め、昨年1月に2500円を突破。3月はコロナショックで1300円台まで落ちたものの、その後は急上昇し、コロナ以前の水準を軽く超えて3月下旬現在で5000円突破目前となっています。

FOOD & LIFE COMPANIESの過去2年の株価推移1/1

コロナ後の成長基盤も着々と準備

FOOD & LIFE COMPANIESはさらなる成長を目指し、2021年9月期は売上高2506億円、当期利益105億円を予想。中期経営計画での目標を超える数字で、強い意欲を示しています。

商品力の高さはもちろん、コロナ下での安全安心と省力化を両立させる店舗システムの導入、テイクアウト需要への対応など、アフターコロナも視野に入れた施策をさらにスピードアップして進めていくのでしょう。テイクアウト寿司のブランドとして知名度の高い「京樽」の買収も、その一環と考えられます。

また、社名の変更とともに新たな企業理念「変えよう、毎日の美味しさを。 広めよう、世界に喜びを。」を発表し、海外展開の本格化を改めて表明。2021年9月期中に海外店舗比率10%超の達成を目指しています。

まとめ

FOOD & LIFE COMPANIESは、コロナ禍の中でも「スシロー」店舗数の拡大で収益増にまい進し、接客システム導入による省人化の店舗モデルづくりやテイクアウト専門店の可能性を探るなど、アフターコロナへつながるチャレンジを行ってきました。

今後も競合に差をつけて、成長していく可能性が高いと見てよいのではないでしょうか。海外展開にも期待大です。

【参考資料】